BMWの次世代EV戦略「Neue Klasse(ノイエ・クラッセ)」が、予想以上の勢いでスタートを切っています。
その第1弾として投入された新型BMW iX3は、欧州での受注がすでに10万台に到達。急速に膨らむ需要へ対応するため、BMWはハンガリーのデブレツェン工場に第3シフトを導入し、ついに24時間体制での生産へ移行しました。
新しいEVを発売したというだけではなく、新プラットフォーム、新工場、新世代のデザインと電動技術を一気に投入したNeue Klasse。その最初のモデルがこれだけの受注を集めたことは、BMWにとってかなり大きな意味を持ちそうです。
欧州で受注10万台を突破

BMWによると、新型iX3は世界初公開から約1年で、欧州における顧客からの注文が10万台に到達しました。
iX3はNeue Klasse初の量産モデルであり、BMWが今後展開するEVの方向性を示す重要な1台です。それだけに市場からどこまで受け入れられるのか注目されていましたが、少なくとも初期段階では非常に強い需要を獲得していると言えます。
実際、BMWは2026年7月の時点でデブレツェン工場におけるiX3の累計生産5万台到達を発表しており、その際にも同社は新工場として過去最速の生産立ち上げを実現したと説明していました。
それでも需要が続いているため、さらに生産能力を引き上げることになったわけです。
デブレツェン工場を24時間稼働へ

iX3を生産するのは、ハンガリーに建設されたBMWのデブレツェン工場です。
BMWは2026年2月に第2シフトを導入していましたが、9月から新たに第3シフトを追加。これによってiX3の生産は24時間体制へと移行しました。
BMWによれば、同工場は量産開始から約8カ月で3交代制まで生産体制を拡大しており、5,000人を超える従業員が生産に携わっています。
さらにデブレツェン工場には20億ユーロ以上が投資され、敷地面積は400ヘクタール以上。Neue Klasse時代のBMWを支える重要な生産拠点として位置付けられています。
新型iX3は何が違うのか

今回の好調な受注を考えるうえで欠かせないのが、iX3が従来型EVの単なるモデルチェンジではないという点です。
新型iX3にはNeue Klasse専用の新世代アーキテクチャが採用され、800V電気システムをはじめ、バッテリーや充電、電子制御などBMWの次世代技術が大幅に盛り込まれています。
代表的なiX3 50 xDriveの主なスペックは以下の通りです。
| 項目 | BMW iX3 50 xDrive |
|---|---|
| 駆動方式 | AWD(デュアルモーター) |
| 最高出力 | 463hp |
| 最大トルク | 476lb-ft(約645Nm) |
| 電気システム | 800V |
| EPA航続距離 | 最大434マイル(約698km) |
| DC急速充電 | 10〜80% 約21分 |
| 米国価格 | 61,500ドル〜 |
航続距離だけを伸ばすのではなく、充電速度や効率、電子制御まで含めてEVとしての完成度を引き上げているところがNeue Klasseの大きな特徴です。
BMWのEV販売にも変化
iX3の好調は単独モデルだけの動きではなく、BMW全体のEV販売にも表れています。
BMWは2026年に累計200万台目となるBEVを顧客へ納車しており、欧州では2026年第2四半期のEV販売が前年同期比38%増となりました。
さらに欧州では、BMWの完全電気自動車の注文のおよそ3台に1台がiX3となっており、X3ファミリーに限れば注文の約半分を電気自動車版が占めています。
EV市場全体では地域によって成長速度に差が見られるものの、少なくともBMWにとってNeue Klasseは電動化を再加速させる存在になりつつあります。
Neue KlasseはiX3だけでは終わらない
そして重要なのは、iX3がNeue Klasseの「第1弾」にすぎないことです。
BMWはすでにNeue Klasseをベースとするセダン「i3」の生産をドイツ・ミュンヘン工場で開始しており、さらに2027年には次世代の電動M3も登場する予定です。
電動M3には4モーターシステムが採用されることも明らかになっており、BMW MにとってNeue Klasseをベースとした初のフル電動モデルになります。
またデブレツェン工場でも、2026年秋からiX3に続く第2のNeue Klasseモデルを生産する予定とされています。
BMWのEV戦略に追い風となる10万台
新しいプラットフォームを採用した第1弾モデルが欧州だけで10万台の受注を獲得し、それに対応するため新設工場を24時間稼働へ移行するという状況は、Neue Klasseの立ち上がりが順調であることを示しています。
もちろん、本当の評価が見えてくるのはiX3だけでなくi3や電動Mモデルなどラインアップが本格的に拡大してからでしょう。
それでも、Neue KlasseというBMWにとって大きな転換点となるプロジェクトが、最初のモデルからこれだけの需要を集めたことは注目に値します。
BMWが掲げる次世代EV戦略は、iX3の10万台受注をひとつの節目として、いよいよ本格的な量産フェーズへ入ったと言えそうです。
参考・出典:Autoblog / BMW Group




