わずか278台だけ。63年前の「コルベット・スプリットウインドウ」から超希少オプション装着車が発見

1963年型シボレー・コルベットと聞けば、クラシックカー好きなら真っ先に思い浮かべるのが「スプリットウインドウ」ではないでしょうか。

リアウインドウを中央で左右に分割した独特のデザインは、現在ではコルベット史を代表するアイコンとなっています。

そんな1963年型コルベットの中から、さらに珍しい1台が発見されました。

一見すると美しく保存された白いスプリットウインドウですが、調べていくと、当時わずか278台しか選ばなかった非常に珍しい純正オプションを装備していることが判明したのです。

目次

1963年だけの「スプリットウインドウ」

今回発見されたのは、1963年型シボレー・コルベット・スティングレイ クーペです。

C2と呼ばれる第2世代コルベットが登場したのが1963年。

その最大の特徴のひとつが、リアガラスを中央のピラーによって左右に分割した「スプリットウインドウ」です。

現在では極めて有名なデザインですが、実はこのリアウインドウが採用されたのは1963年型だけでした。

後方視界の悪さが問題となり、翌1964年からは一般的な一枚ガラスへと変更されています。

当時はスプリット部分を取り除くためのコンバージョンキットまで販売されていたとされ、現在では信じられないことですが、オリジナルのスプリットウインドウを失ってしまった個体も存在します。

だからこそ、オリジナルの姿を維持している1963年型は現在非常に高い人気を誇っています。

未レストアで残された「Ermine White」の1台

今回の車両を発見したのは、YouTuberとしても知られるSteve Magnante氏です。

ボディカラーはオリジナルの「Ermine White」。

さらに驚くべきことに、大規模なレストアによって作り直された車両ではなく、長い年月を経ながらオリジナルの状態を色濃く残している個体です。

60年以上前のクルマでありながら、こうした状態で現存していること自体が非常に貴重です。

しかし、このコルベットを特別な存在にしているのはスプリットウインドウだけではありません。

300hp仕様の327スモールブロックV8を搭載

エンジンには、シボレーを代表する327立方インチのスモールブロックV8を搭載しています。

今回の個体は300hp仕様。

1963年当時のラインナップでは中間的なパフォーマンス仕様に位置付けられるエンジンですが、アルミ製バルブカバーや4バレルキャブレターなどを備えています。

さらに組み合わされているトランスミッションにも注目です。

4速マニュアルではなく、2速「Powerglide」オートマチックトランスミッションを装備しています。

当時Powerglideは199ドルのオプションでした。

1963 Chevrolet Corvette Stingray Coupe

項目内容
モデルChevrolet Corvette Stingray Coupe
モデルイヤー1963年
世代C2(第2世代)
ボディ2ドア クーペ
ボディカラーErmine White
エンジン327cu-in スモールブロックV8
排気量約5.4L
最高出力300hp
燃料供給4バレルキャブレター
トランスミッション2速 Powerglide AT
リアウインドウスプリットウインドウ
エアコンC60 純正ファクトリーエアコン
インテリアSaddle Leather

本当の主役は「純正エアコン」

そして今回のコルベット最大の特徴が、ダッシュボードの奥に隠されています。

それが「C60」と呼ばれる純正ファクトリーエアコンです。

現在ではエアコンのない新車を探すほうが難しいほど当たり前の装備ですが、1963年当時のスポーツカーではまったく事情が異なります。

コルベットにとって1963年は、ファクトリーエアコンが設定された最初の年でした。

しかも高価なオプションだったこともあり、このC60エアコンを選択した1963年型コルベットは、わずか278台だったとされています。

つまり、今回の車両は「1963年だけのスプリットウインドウ」に加え、「278台しか選ばなかった純正エアコン」を組み合わせた個体なのです。

内装も希少なサドルレザー

希少装備はこれだけではありません。

インテリアには美しいサドルカラーのレザーシートが残されています。

このレザーインテリア自体も1963年型では決して一般的な仕様ではなく、装備された車両は1,114台だったとされています。

しかも今回の個体では、その内装が非常に良好なオリジナル状態で残されています。

スプリットウインドウ、300hp V8、Powerglide、C60エアコン、サドルレザー。

それぞれの装備だけを見ると存在していても不思議ではありません。

しかし、これらすべてが1台に組み合わされているとなると話は別です。

「1 of 1」の可能性も?

Autoblogでは、この独特なオプション構成を考えると「1 of 1」、つまり同一仕様が1台しか存在しない可能性についても触れています。

ただし、これは正式な生産記録によって「世界に1台」と証明されたという意味ではありません。

それでも、わずか278台のC60エアコン装着車に、サドルレザーや300hp V8、Powerglideなどの仕様を掛け合わせれば、極めて珍しい組み合わせであることは間違いないでしょう。

クラシックカーの世界では、単純な生産台数だけで価値が決まるとは限りません。

どのエンジンを搭載していたのか。

どのトランスミッションを選択したのか。

そして、どんなファクトリーオプションが装着されていたのか。

こうした「生まれたときの仕様」が、そのクルマの価値を大きく左右します。

Z06だけが希少なコルベットではない

1963年型コルベットの希少モデルとして有名なのがZ06です。

1963年型Z06の生産台数はわずか199台。

さらに耐久レースを想定した36ガロンの大容量燃料タンク「N03」を備えた、通称「Tanker(タンカー)」もコレクターの間で非常に高く評価されています。

しかし今回の車両は、そうした純粋なハイパフォーマンスモデルとは少し違います。

通常仕様に近いコルベットでありながら、当時ほとんどの購入者が選ばなかった装備が組み合わされている。

そこに、この1台ならではの面白さがあります。

まとめ

1963年型コルベット・スプリットウインドウは、それだけでもアメリカ自動車史を代表する名車です。

しかし今回発見された個体は、単なるスプリットウインドウではありません。

300hp仕様の327スモールブロックV8、2速Powerglide、サドルレザー、そして1963年にわずか278台しか選択されなかったC60ファクトリーエアコン。

さらに、それらが未レストアに近い状態で残されています。

新車当時には「高価だから」と見送られたオプションが、60年以上の時間を経て、そのクルマを特別な存在へと変えているのです。

クラシックカーの面白さは、必ずしも最高出力や最高速度だけにあるわけではありません。

オプションリストの小さなチェックひとつが、数十年後にそのクルマの物語を大きく変えることがあります。

今回発見された1963年型コルベットは、まさにそれを象徴する1台と言えるでしょう。

参考・出典: Autoblog / Steve Magnante

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この記事を書いた人

メルセデス・ベンツ正規ディーラーを中心に、自動車業界で10年以上の経験を持つ筆者。販売現場で培った経験をもとに、高級車・新型車を中心とした自動車情報を独自の視点で発信しています。

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