2026年で消える名エンジン9選|レクサスV8、ブガッティW16、AMGなどが相次いで終焉へ

自動車業界の電動化と排出ガス規制強化が進むなか、長年にわたり多くのファンを魅了してきた名エンジンが、次々と歴史の表舞台から姿を消そうとしています。

2026年から2027年にかけて終焉を迎えるのは、レクサス LC500を象徴する5.0リッター自然吸気V8「2UR-GSE」、ブガッティを世界最速クラスへ押し上げた8.0リッターW16、ホンダ シビック タイプRのK20C1、そしてAMG C63で大きな話題となったM139などです。

さらにジャガー・ランドローバーのスーパーチャージャー付きV8や、コルベット、GMの大型SUV・ピックアップに搭載されてきたV8にも世代交代の時期が訪れます。

今回は、2026年前後に生産終了、または後継エンジンへの移行が予定されている名機を振り返ります。

目次

トヨタ 2UR-GSE|5.0リッター自然吸気V8

レクサスの高性能モデルを象徴してきたエンジンのひとつが「2UR-GSE」です。

ヤマハとの共同開発によって誕生した5.0リッター自然吸気V8で、初期にはレクサス IS Fへ搭載。その後GS F、RC F、LC500などへ採用され、レクサス「F」モデルの歴史を支えてきました。

特にLC500では、ターボや電動アシストに頼らず、高回転まで滑らかに吹け上がるV8ならではのフィーリングとサウンドが大きな魅力となっています。

項目内容
エンジン2UR-GSE
排気量5.0L
形式V型8気筒 自然吸気
最高出力最大約471hp(北米仕様)
主な搭載車IS F、GS F、RC F、LC500
最終使用例2026年型レクサス LC500

IS F、GS F、RC F、LC500と受け継がれてきた2UR-GSEですが、最後までこのエンジンを搭載する市販車となったのがLC500です。

今後のレクサス高性能モデルでは、ハイブリッドやターボなど電動化を組み合わせたパワートレインへの移行が進んでいくとみられます。

「大排気量・自然吸気・V8」という組み合わせそのものが希少になった現在、2UR-GSEの終焉はひとつの時代の終わりと言えるでしょう。

アウディ 2.5 TFSI|2.5リッター直列5気筒ターボ

アウディの歴史を語るうえで欠かせないのが直列5気筒エンジンです。

そのルーツは1970年代まで遡り、初代quattroなどを経て、現代ではRS3を象徴するパワーユニットとなりました。

独特な点火間隔によって生み出されるサウンドは、一般的な4気筒や6気筒とは明確に異なり、アウディの高性能モデルを象徴する個性のひとつとなっています。

項目内容
エンジン2.5 TFSI
排気量2.5L
形式直列5気筒ターボ
最高出力約394hp
主な搭載車TT RS、RS3
最終使用例2027年型アウディ RS3

欧州の排出ガス規制強化などを背景として、この個性的な5気筒も終焉へ向かいます。

一方で、アウディが高性能内燃機関を完全に諦めたわけではありません。今後は電動化技術と高性能エンジンを組み合わせる方向へと移行していくことになりそうです。

ブガッティ W16|8.0リッター・クアッドターボ

2000年代以降のハイパーカー史において、これほど衝撃的なエンジンはほとんど存在しません。

ブガッティがヴェイロンで世に送り出したのが、8.0リッターW16クアッドターボです。

16気筒、4基のターボチャージャーという常識外れの構成によって1,000馬力を超える性能を実現し、その後シロンではさらに強力な仕様へと進化しました。

項目内容
排気量8.0L
形式W型16気筒
過給器クアッドターボ
最高出力仕様により1,000~1,578hp級
主な搭載車ヴェイロン、シロン、ミストラル
最終使用例2026年 ミストラル、特別モデルなど

W16を搭載する最後の量産ブガッティとなったのがミストラルです。

後継世代では、W16ではなく自然吸気V16とハイブリッドシステムを組み合わせた、まったく新しいパワートレインへ移行します。

つまりブガッティは16気筒を捨てるのではなく、その哲学を新しい時代へ進化させる道を選んだことになります。

ホンダ K20C1|2.0リッター直列4気筒ターボ

ホンダの現代を代表する高性能エンジンのひとつが、シビック タイプRに搭載されるK20C1です。

2.0リッター直列4気筒ターボながら、北米仕様では315hp級の最高出力を発生します。

項目内容
エンジンK20C1
排気量2.0L
形式直列4気筒ターボ
最高出力約315hp(北米仕様)
最大トルク約310lb-ft
主な搭載車シビック タイプR、アキュラ インテグラ タイプS
最終使用例2026年型シビック タイプR(欧州・英国市場)

ただし、K20C1そのものが世界中ですぐに消滅するという意味ではありません。

シビック タイプRは米国市場で継続される一方、英国・欧州市場では排出ガス規制などを背景に販売終了へ向かいます。

そのため、これはK20C1というエンジンそのものの完全消滅というより、一部市場での終焉として捉えるのが適切でしょう。

ジャガー・ランドローバー AJ133S|5.0リッター・スーパーチャージャーV8

ジャガーとランドローバーの高性能モデルを長年支えてきたのが、5.0リッターV8「AJ133」です。

特にスーパーチャージャー仕様は、ジャガー F-TypeやF-Pace SVR、ランドローバー Defenderなどで採用され、その豪快なサウンドとトルクによって強烈な個性を生み出しました。

項目内容
エンジンAJ133S
排気量5.0L
形式V型8気筒
過給器スーパーチャージャー
主な搭載車F-Type、F-Pace SVR、Defender V8など
最終使用例2026年型F-Pace SVR、Defender V8など

ジャガーF-Typeが生産終了したことに続き、このJLR製V8も役目を終えようとしています。

DefenderなどではBMW製4.4リッターV8が採用されるモデルも登場しており、JLRのV8戦略そのものが大きく変化しています。

メルセデスAMG M139|2.0リッター直列4気筒ターボ

近年もっとも議論を呼んだAMGエンジンのひとつがM139系2.0リッター直列4気筒ターボです。

C43だけでなく、C63 S E PERFORMANCEにも2.0リッター4気筒をベースとした電動化パワートレインが採用され、C63ではシステム最高出力671hp(北米値)という驚異的な性能を実現しました。

項目内容
エンジンM139系
排気量2.0L
形式直列4気筒ターボ
C43約416hp
C63 S E PERFORMANCEシステム最高出力 約671hp
主な対象モデルAMG C43、C63、GLC43、GLC63
最終使用例2027年型C43/C63、GLC43/GLC63系

ただし、スペックの高さとは裏腹に、従来のV8を求めるAMGファンからは賛否が分かれました。

今後はAMGの高性能モデルでも再び多気筒エンジンを採用する方向への変化が注目されています。

4気筒C63は、AMGの歴史において非常に特殊な一章として記憶される可能性があります。

シボレー LT2|6.2リッター自然吸気V8

ミッドシップ化されたC8コルベット・スティングレイを支えてきたのがLT2です。

6.2リッター自然吸気V8という伝統的なアメリカンV8の構成を持ちながら、ミッドシップシャシーと組み合わせられたことが大きな特徴です。

項目内容
エンジンLT2
排気量6.2L
形式V型8気筒 自然吸気
最高出力約490hp
最大トルク約465lb-ft
主な搭載車C8 コルベット・スティングレイ
最終使用例2026年型コルベット・スティングレイ

この世代交代でも注目したいのは、GMが自然吸気V8そのものを諦めようとしているわけではないことです。

伝統的なアメリカンV8のキャラクターを残しながら、次世代の性能・環境性能へ対応する新しいエンジンへ進化していくことになります。

GM L84/L87|5.3&6.2リッターV8

GMのフルサイズピックアップやSUVを長年支えてきたV8にも、大きな世代交代が訪れます。

L84は5.3リッター、L87は6.2リッターのスモールブロックV8で、シボレー、GMC、キャデラックの大型車を中心に幅広く使用されてきました。

項目L84L87
排気量5.3L6.2L
形式V型8気筒V型8気筒
主な使用例 Chevrolet Silverado 1500
Tahoe
Suburban
GMC Sierra 1500
Yukon
Chevrolet Silverado 1500
Tahoe
Suburban
GMC Sierra 1500
Yukon
Cadillac Escalade
最終使用例2026年型GMフルサイズトラック/SUV系2026年型GMフルサイズトラック/SUV系
位置付け標準~中核V8上級・高性能V8
後継世代次世代5.7L V8次世代6.6L V8

L84は比較的スタンダードなV8として、Silverado 1500やTahoe、Suburban、Sierra 1500、Yukonなど、GMを代表する大型ピックアップやSUVに幅広く採用されてきました。

一方、より大排気量となるL87は、Silverado 1500、Sierra 1500、Tahoe、Suburban、Yukonに加え、Cadillac Escaladeなどの上級・高性能仕様にも採用されています。

大排気量V8らしい豊かなトルクを持ちながら、気筒休止技術などを組み合わせることで燃費性能との両立を図ってきたことも、L84/L87の特徴です。

ただし、GMがV8そのものを廃止するわけではありません。次世代スモールブロックV8へ巨額の投資を行っており、次世代では5.7リッターと6.6リッターの新型V8が登場する見通しです。

これは、今回紹介するほかのエンジンとは少し事情が異なります。GMはV8から撤退するのではなく、環境性能や耐久性、パフォーマンスをさらに高めた次世代V8へ進化させようとしているのです。

大排気量V8の時代が終わるのではなく、新しい世代へ受け継がれていく。その意味でL84とL87の終焉は、「V8の終わり」ではなく「次世代V8へのバトンタッチ」と言えるでしょう。

名エンジンが次々と消える2026年、それでも内燃機関は終わらない

今回紹介したエンジンを見ると、自動車業界が大きな転換期を迎えていることがよく分かります。

レクサスの5.0リッター自然吸気V8、アウディの直列5気筒、ブガッティのW16、ジャガー・ランドローバーのスーパーチャージャーV8など、そのメーカーだからこそ生まれた個性的なエンジンが次々と姿を消します。

一方で、これは必ずしも「内燃機関の終焉」を意味するものではありません。

ブガッティは新世代のV16へ、GMは次世代スモールブロックV8へと移行します。メーカーによっては電動化技術を組み合わせながら、内燃機関そのものを残す動きも続いています。

電動化や排出ガス規制によってエンジンのあり方は確実に変わっていますが、高性能車における内燃機関の物語は、まだ終わってはいないのかもしれません。

むしろ2026年前後は、「名エンジンの終焉」と「次世代エンジンの始まり」が同時に訪れる、歴史的な転換点になりそうです。

参考・出典:CarBuzz

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この記事を書いた人

メルセデス・ベンツ正規ディーラーを中心に、自動車業界で10年以上の経験を持つ筆者。販売現場で培った経験をもとに、高級車・新型車を中心とした自動車情報を独自の視点で発信しています。

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