映画『トイ・ストーリー』でバズ・ライトイヤーの声を演じ、アメリカの人気俳優として知られるティム・アレン(Tim Allen)が、自身のプライベートガレージを公開しました。
2026年10月10日、アメリカのピーターセン自動車博物館(Petersen Automotive Museum)がYouTubeで新シリーズ「Open Garage」をスタートさせ、その記念すべき初回ゲストとして登場したのがティム・アレンです。
彼のガレージには、最新のフォード・マスタングGTDをはじめ、グループBラリーのために開発されたフォードRS200、クラシックポルシェ、フェラーリ330 GTCなど、自動車史に名を残す希少なモデルが並んでいます。
しかし、このコレクションが興味深いのは、単に高価な車を集めているからではありません。アメリカンマッスルカーからヨーロッパのクラシックスポーツカーまで、時代も国籍も異なる車両を所有する姿からは、彼が自動車そのものを深く愛していることが伝わってきます。
ティム・アレンとは? ハリウッド屈指の自動車愛好家

ティム・アレンは、アメリカのテレビドラマ『ホーム・インプルーブメント』で人気を獲得し、その後も映画『サンタクローズ』シリーズや『トイ・ストーリー』など、数多くの作品に出演してきた俳優です。
特に『トイ・ストーリー』のバズ・ライトイヤー役は世界的に知られていますが、プライベートではクラシックカーや高性能車を愛する熱心なカーエンスージアストとしても有名です。
自動車産業の中心地であるデトロイトで育った彼にとって、車は単なる移動手段ではなく、幼少期から身近に存在していた文化そのものでした。
実際、彼は以前から自動車のカスタマイズや高性能エンジンに強い関心を持ち、自らの名前を冠した特別なカスタムカーの製作にも関わってきました。
今回公開されたガレージにも、そのような長年の経験や思い出が反映されており、一般的なスーパーカーコレクターとは異なる独特の個性が感じられます。
普段乗りはフォード・マスタングGTDという驚き

今回の映像で最初に紹介されたのは、鮮やかなレッドのフォード・マスタングGTDでした。
マスタングGTDは、フォードがモータースポーツで培った技術を投入して開発した高性能モデルであり、通常のマスタングとは一線を画す存在です。
スーパーチャージャー付き5.2リッターV型8気筒エンジンを搭載し、最高出力は800hpを超える領域に達しています。
| 項目 | フォード・マスタングGTD |
|---|---|
| エンジン | 5.2L V型8気筒スーパーチャージャー |
| 最高出力 | 826PS(815hp) |
| 駆動方式 | 後輪駆動 |
| トランスミッション | 8速デュアルクラッチ |
| 車両コンセプト | 公道走行可能なサーキット志向モデル |
この車についてティム・アレンは、運転しているだけで違反を犯してしまいそうなほど速いという意味を込めて、「Driving Felony」と表現しています。
興味深いのは、これほど過激な性能を持つマスタングGTDを、彼が日常的に使用する車として紹介していることです。
通常であれば大切に保管されるような希少車であっても、実際に走らせてこそ価値があるという考え方が、彼のコレクションには一貫しているのかもしれません。
幻のグループBマシン、フォードRS200も所有

コレクションの中でも特に注目したいのが、1980年代の世界ラリー選手権(WRC)を象徴するフォードRS200です。
RS200は、当時のグループB規定に対応するためにフォードが開発したホモロゲーションモデルで、ミッドシップエンジンと四輪駆動を組み合わせた特殊な構造を採用していました。
グループBは、非常に自由度の高い車両開発が認められた一方、競技車両の性能が急激に向上したことで重大事故が相次ぎ、1986年をもって廃止されたカテゴリーです。
そのためRS200は、本来の競技活動を十分に展開できないまま歴史の表舞台から姿を消すことになりました。
| 項目 | フォードRS200(ロード仕様の代表値) |
|---|---|
| 開発目的 | グループBホモロゲーション |
| エンジン | 1.8L 直列4気筒ターボ |
| 最高出力 | 約254PS |
| エンジン配置 | ミッドシップ |
| 駆動方式 | 四輪駆動 |
| 生産規模 | 約200台規模 |
生産台数が極めて限られているうえ、モータースポーツ史における特別な背景を持つことから、RS200は現在でもコレクターから高い評価を受けています。
ティム・アレンは以前、このRS200を著名な自動車愛好家ジェイ・レノの番組にも持ち込んでおり、単に所有するだけではなく、その魅力を積極的に発信してきました。
フェラーリ330 GTC、ポルシェ356など欧州の名車も

アメリカ車への愛情が強いティム・アレンですが、ヨーロッパのクラシックスポーツカーもコレクションの重要な一角を占めています。
その代表格が、1960年代にフェラーリが製造した330 GTCです。
330 GTCは、フロントにV型12気筒エンジンを搭載するグランドツーリングカーであり、優雅なデザインと長距離走行性能を両立したモデルとして知られています。
現代のフェラーリが極限の空力性能や電子制御技術を追求する一方、330 GTCには、自然吸気V12エンジンとクラシックなボディデザインが織りなす独特の魅力があります。
さらに、ポルシェ356や初期の911S、ジャガーXKE(Eタイプ)といった名車も所有しており、スポーツカーの進化を時代ごとにたどるような顔ぶれとなっています。
特にポルシェ356は、現在の911へと続くブランドの歴史を語るうえで欠かせないモデルであり、こうした車両を現代の高性能車と並べて楽しめることも、このガレージの魅力といえるでしょう。
アメリカンマッスルカーへの変わらない愛情

ティム・アレンのコレクションを語るうえで欠かせないのが、アメリカンマッスルカーの存在です。
今回紹介された車両には、ダッジ・デーモンやクラシックなポンティアック、フォードのカスタムカーなども含まれており、彼が育った時代のアメリカ自動車文化を色濃く反映しています。
また、過去のガレージ紹介では、シボレー・インパラSSにコルベットZR-1由来のLT5エンジンを搭載した特別な車両や、カスタマイズされたピックアップトラックなども登場しました。
こうした車両は、メーカーが完成させた状態をそのまま保存することだけを目的としているわけではなく、エンジンやシャシーに手を加え、自分だけの一台へと仕上げるアメリカのホットロッド文化を体現しています。
高級車の価格やブランドだけで判断するのではなく、エンジンの構造、走行性能、製作に込められた技術、そして個人的な思い出まで含めて車を評価する姿勢こそ、ティム・アレンの自動車愛を象徴しているのでしょう。
1939年製スタッドベーカーという異色の存在

さらに、ピーターセン自動車博物館が紹介した車両の中には、1939年製のスタッドベーカーも含まれています。
同博物館によると、この車両は現存が確認されているわずか5台のうちの1台とされており、一般的な高級スポーツカーとは異なる意味で極めて希少な存在です。
ティム・アレンは幼い頃にトラック運転手になることを夢見ていたといい、この車両の所有には、その夢を形にするという個人的な意味も込められています。
最新のマスタングGTDと80年以上前の商用車が同じコレクションに収まっているという事実は、彼が車を選ぶ際に何を重視しているのかをよく表しています。
ガレージは単なる保管場所ではない
今回の「Open Garage」は、著名な自動車愛好家のプライベートガレージを訪問し、車両だけでなく、そこに込められた思いや背景を紹介するシリーズです。
ティム・アレンのコレクションは、そのコンセプトを象徴する内容といえるでしょう。
最新の高性能車、歴史的なレーシングカー、クラシックなヨーロッパ製スポーツカー、そしてアメリカの自動車文化を支えてきたマッスルカーやトラックまで、ジャンルを問わず幅広い車両が並んでいます。
しかも、それぞれの車両には単なる資産価値だけでは説明できない個人的な物語が存在しています。
高価な車を何台所有しているかということ以上に、なぜその車を選び、どのように楽しんできたのか。その背景にこそ、真の自動車愛好家としての魅力が表れているのではないでしょうか。
ティム・アレンのガレージは、車が単なる移動手段や投資対象ではなく、人生の記憶や憧れを映し出す存在であることを改めて感じさせてくれます。
参考・出典:Autoblog / Petersen Automotive Museum / Motor Authority / The ClassicCars.com Journal




