アメリカらしい“マッスルトラック”の世界で、とんでもない落札額が飛び出しました。
2026年9月に開催されたバレット・ジャクソン・ラスベガス・オークションにおいて、最初の市販向け2027年型「Ram 1500 Rumble Bee SRT」をベースとしたワンオフモデルが登場。
さらに、ダッジ・バイパー譲りのV10エンジンを搭載する2005年式「Dodge Ram 1500 SRT-10」とセットで出品され、最終的に150万ドル(約2億2,000万円)という驚異的な金額で落札されました。
落札したのは、UFCのCEOとして知られるダナ・ホワイト氏です。
なお、150万ドルという金額はRumble Bee SRT単体の落札価格ではなく、2台セットでの落札価格です。
新旧「マッスルトラック」がセットで登場

今回の主役となったのが、2027年型Ram 1500 Rumble Bee SRTです。
通常仕様でもスーパーチャージャー付き6.2リッターHEMI V8を搭載し、最高出力777hpを発生する強烈なピックアップですが、オークションに出品された車両はさらに特別です。
RamのDirect Connectionによる3.0リッタースーパーチャージャーなどを装着することで、最高出力は900hpを超えるまでに強化されています。
さらに、この車両は最初の市販向けRumble Bee SRTをベースとしたワンオフ仕様。
ボディ上部にはMolten Red Pearl-Coat、下部にはDiamond Black Crystal Pearl-Coatを採用したツートーンカラーが施され、専用グラフィックやレッドのBremboブレーキキャリパー、22インチのサテンブラックホイールなども装着されています。
センターコンソールには「1 of 1」を示す専用バッジも備えられています。
900馬力超のモンスターピックアップ
通常のRumble Bee SRTでも、その性能は一般的なピックアップトラックのイメージから大きくかけ離れています。
| 項目 | Ram 1500 Rumble Bee SRT |
|---|---|
| エンジン | 6.2L スーパーチャージャー付きHEMI V8 |
| 通常仕様最高出力 | 777hp |
| 通常仕様最大トルク | 680lb-ft(約922Nm) |
| オークション仕様最高出力 | 900hp超 |
| トランスミッション | 8速AT |
| 駆動方式 | フルタイム4WD |
| 0-60mph加速 | 3.4秒(通常仕様) |
| 1/4マイル | 11.6秒(通常仕様) |
| 最高速度 | 170mph(約274km/h・通常仕様目標値) |
| ホイール | 22インチ |
| タイヤ | 325/40R22 |
0-60mph(約96km/h)加速3.4秒という数字は、もはや高性能スポーツカーと比較しても遜色ありません。
しかもこれは、荷台を持つフルサイズピックアップです。
RamはRumble Bee SRTについて「最もパワフルで、最も速く、最も加速性能に優れたV8搭載量産ピックアップ」としています。
もう1台は“バイパーの心臓”を持つRam SRT-10
そして今回のオークションをさらに特別なものにしたのが、セットとなった2005年式Dodge Ram 1500 SRT-10です。
SRT-10といえば、2000年代を代表する伝説的な高性能ピックアップ。
最大の特徴は、当時のダッジ・バイパーから受け継いだ8.3リッター自然吸気V10エンジンです。
最高出力は500hp、最大トルクは525lb-ft(約712Nm)。
現在ではスーパーチャージャーや電動化によって700馬力、800馬力という数字も珍しくなくなりましたが、約20年前に巨大な8.3リッターV10をピックアップトラックへ搭載するという発想は、いかにもアメリカらしいものでした。
2005年式SRT-10もワンオフ仕様に
今回セットになったSRT-10もノーマル車両ではありません。
Ram、UFC、RealTruckなどが協力して製作した特別仕様で、イエローとブラックのツートーンボディを採用。
専用ホイールや巨大なViper風サイドグラフィック、ブラックレザーにイエローのアクセントを組み合わせたインテリアなどが与えられています。
新型Rumble Bee SRTがレッド×ブラックなのに対し、SRT-10はイエロー×ブラック。
2台を並べることで、約20年間にわたるRamの「マッスルトラック」の歴史を表現した組み合わせとなっています。
20年で500馬力から900馬力超へ
2台を比較すると、ピックアップトラックの性能がこの20年間でどれほど進化したのかも分かります。
| 項目 | 2005 Ram SRT-10 | 2027 Ram Rumble Bee SRT オークション仕様 |
|---|---|---|
| エンジン | 8.3L NA V10 | 6.2L スーパーチャージャーV8 |
| 最高出力 | 500hp | 900hp超 |
| 最大トルク | 525lb-ft(約712Nm) | 通常仕様680lb-ft(約922Nm) |
| 0-60mph | 約4.9秒 | 通常仕様3.4秒 |
| 最高速度 | 約154mph(約248km/h) | 通常仕様170mph(約274km/h) |
巨大な自然吸気V10からスーパーチャージャーV8へ。
500馬力から900馬力超へ。
この2台は単なる高性能ピックアップというだけでなく、アメリカン・パフォーマンスカーの20年間の変化を象徴する存在ともいえそうです。
落札したのはUFCのダナ・ホワイト
そして、この2台を落札した人物も大きな話題となりました。
落札者はUFCのCEO、ダナ・ホワイト氏。
最終落札価格は150万ドル。
1ドル147円として単純換算すると、約2億2,000万円に相当します。
今回のオークションはチャリティーとして行われ、バレット・ジャクソンは手数料とコミッションを免除。150万ドルの落札額はFolds of HonorとUFC Foundationを支援するために充てられます。
そのため、この金額をそのまま2台の市場価値として考えるのは適切ではありません。
通常の2027年型Rumble Bee SRTは9万5,000ドル未満からと発表されており、今回の150万ドルという価格には「最初の市販向け車両」「ワンオフ仕様」「SRT-10とのセット」、そしてチャリティーオークションという特殊な背景があります。
ピックアップに900馬力は必要なのか?
冷静に考えれば、ピックアップトラックに900馬力以上のパワーが必要な場面など、ほとんどありません。
しかし、こうした「必要以上」の性能こそ、アメリカンマッスルの面白さなのかもしれません。
約20年前、Ramはバイパーの8.3リッターV10をピックアップへ押し込み、500馬力のSRT-10を生み出しました。
そして2027年、その思想を受け継ぐRumble Bee SRTは777馬力に到達し、今回の特別仕様ではついに900馬力を突破しています。
新旧2台のマッスルトラックに付いた価格は150万ドル。
単純な車両価格では測れない、Ramのパフォーマンス史そのものに対して付けられた価格だったのかもしれません。
参考・出典:Autoblog / Ram / Barrett-Jackson




