マクラーレンが大変革へ。SUVや新型GTなど怒涛の新モデル攻勢、約1,000人を新規雇用か

英国を代表するスーパーカーメーカー、マクラーレンが大きな転換期を迎えようとしています。

これまでマクラーレンといえば、軽量なカーボンモノコックに強力なエンジンを搭載した2シーター・ミッドシップスーパーカーを中心に展開してきました。

しかし、今後のマクラーレンはその枠を大きく超えることになりそうです。

報道によると、同社は英国ウォーキングの拠点を中心に約4億5,000万ポンド(約900億円規模)の大型投資を計画。さらに最大約1,000人の雇用を創出するとされています。

その背景にあるのが、マクラーレン史上でも最大級となる「新モデル攻勢」です。

目次

マクラーレンが大規模な事業拡大へ

マクラーレンは近年、経営面で決して順風満帆だったわけではありません。

しかし現在は、アブダビの投資会社CYVN Holdingsによる支援を受け、EVスタートアップのForseven Holdingsとの統合を経て、新たな体制へと移行しています。

CYVNはマクラーレンに対し、今後5年間で約20億ドル規模を投資する計画とも報じられています。

その一環として進められるのが、英国ウォーキングにあるマクラーレン・テクノロジー・センターへの大規模投資です。

項目内容
投資額約4億5,000万ポンド
主な投資先英国ウォーキングの開発・製造拠点など
新規雇用最大約1,000人
現在の従業員数約2,500人規模
主な目的新モデル開発・研究開発・生産体制強化

現在の従業員数を考えれば、約1,000人という増員はかなり大きなものです。

つまりマクラーレンは単純に既存モデルの生産台数を増やすのではなく、これまでとは異なるカテゴリーへ本格的に進出しようとしている可能性があります。

2027年には約800馬力級の新型ミッドシップモデルか

今後登場するとみられているモデルのひとつが、新しいミッドシップスポーツカーです。

過去の報道では開発コード「P34」とされ、V6エンジンにハイブリッドシステムを組み合わせ、800馬力前後を発生すると伝えられています。

Arturaより上位に位置しながら、750Sとは異なる新しいキャラクターを持つモデルになる可能性があります。

項目新型ミッドシップモデル(予想)
開発コードP34
エンジンV6+ハイブリッド
最高出力約800馬力級
レイアウトミッドシップ
登場時期2027年頃と報道
ポジションArturaより上位
特徴新世代デザイン・高級感を強化

デザインについても、これまでのマクラーレンとは異なる新しい方向性が採用されるとみられています。

さらに内装にはナッパレザーやアニリンレザーなど、より高級志向の素材が使われるとの情報もあり、純粋な速さだけではなく「ラグジュアリー」という要素が今後のマクラーレンにとって重要になっていきそうです。

ついに「マクラーレンSUV」が登場する可能性

そして最大の注目は、やはりSUVです。

かつてのマクラーレンからは想像しにくかったカテゴリーですが、2028年頃にブランド初となるSUVが登場すると報じられています。

しかも単純なEVではなく、V8ハイブリッドを採用する可能性があります。

現在、スーパーカー・ラグジュアリーブランドにとってSUVは極めて重要な存在です。

ランボルギーニには「ウルス」、アストンマーティンには「DBX」、ベントレーには「ベンテイガ」、ロールス・ロイスには「カリナン」が存在します。

そしてフェラーリも「プロサングエ」でこの市場へ参入しました。

最後まで2シータースポーツカーへのこだわりを見せてきたマクラーレンも、ついにこの流れに加わることになりそうです。

ブランドSUV/クロスオーバー
LamborghiniUrus
FerrariPurosangue
Aston MartinDBX
BentleyBentayga
Rolls-RoyceCullinan
McLaren新型SUV(2028年頃と報道)

マクラーレンがSUVを作るのであれば、単に車高を上げた高級車ではなく、カーボン技術や軽量化、エアロダイナミクスなど同社の得意分野をどこまで持ち込めるのかが注目されます。

GTS後継には「2+2」のグランドツアラーも?

もうひとつ興味深いのがGTSの後継モデルです。

これまでの情報では、新世代グランドツアラーには「2+2」のシートレイアウトが採用される可能性があるとされています。

実現すれば、現在のマクラーレンとはかなり違った存在になります。

マクラーレンは長年「2人乗り」を基本としてきましたが、後席を追加することで実用性は大幅に向上します。

フェラーリ RomaやPurosangueなど、ラグジュアリーGTを求める顧客層までターゲットを広げられる可能性があります。

速さだけではなく「マクラーレンで旅行する」という使い方を本格的に提案するモデルになるかもしれません。

750Sの後継モデルも2028年頃に登場か

現行750Sについても世代交代が予定されていると報じられています。

その前に登場したのが、750S系の集大成ともいえる「788HS」です。

788HSは4.0リッターV8ツインターボから777hp(788PS)を発生し、クーペとスパイダーそれぞれ100台という非常に限定されたモデルです。

項目McLaren 788HS
エンジン4.0L V8ツインターボ
最高出力777hp(788PS)
最大トルク800Nm
0-100km/h2.8秒
0-200km/h7.0秒
最高速度330km/h
生産台数クーペ100台+スパイダー100台

そしてその後、2028年頃には750Sを本格的に置き換える新世代スーパーカーが登場するとみられています。

フェラーリなどライバルメーカーもハイブリッド化を急速に進めているだけに、マクラーレンが次世代モデルでどのようなパワートレインを採用するのかにも注目です。

W1にもさらなる派生モデル?

マクラーレンの頂点には現在「W1」が存在します。

F1、P1の系譜を受け継ぐ最新Ultimate Seriesで、新開発4.0リッターV8と電気モーターを組み合わせ、システム最高出力は1,275PS。

わずか399台限定というハイパーカーです。

項目McLaren W1
エンジン4.0L V8ツインターボ+ハイブリッド
システム最高出力1,275PS
トランスミッション8速DCT
駆動方式後輪駆動
生産台数399台
ポジションF1/P1の後継となる「1」シリーズ

そして今後、W1にもオープントップ系の派生モデルが登場する可能性が報じられています。

もし実現すれば、W1の1,275PSという強烈なパワートレインをオープンエアで楽しめる、マクラーレン史上でも特別なモデルになりそうです。

「スーパーカーメーカー」から「ラグジュアリーブランド」へ

今回の一連の計画で最も興味深いのは、新型車の台数ではありません。

マクラーレンというブランドそのものが変わろうとしていることです。

これまでのマクラーレンは、フェラーリやランボルギーニと比較しても「ドライビング」「軽量化」「サーキット性能」といったエンジニアリング色の強いメーカーでした。

一方、今後はSUVや2+2 GTなどを投入することで、より幅広い富裕層へアプローチすることになります。

これはポルシェがカイエンで、ランボルギーニがウルスで経験した変化にも似ています。

SUVの投入に対してブランドのファンから賛否が出る可能性はあります。

しかしSUVやGTによって安定した収益を確保できれば、その利益をW1や788HS、さらには今後登場する超限定モデルの開発へ投入することもできます。

「SUVを作ることでスーパーカーが薄まる」のではなく、「SUVを作ることで、より狂ったスーパーカーを作れる」。

マクラーレンにとっては、そんな未来になる可能性もありそうです。

まとめ

マクラーレンは今、ブランド史上でも最大級の変革期を迎えています。

約4億5,000万ポンドという大型投資と最大約1,000人の新規雇用。

さらに新型ミッドシップスポーツ、2+2グランドツアラー、750S後継モデル、そしてブランド初となるSUVなど、これまでとは比較にならないほど幅広いラインアップが構想されています。

特にSUVの登場は、マクラーレンにとって大きな転換点になるでしょう。

F1やP1、そしてW1を生み出してきた「究極のドライバーズカー」という哲学を守りながら、ラグジュアリーブランドとして規模を拡大できるのか。

今後数年間は、マクラーレンの歴史の中でも非常に重要な時期になりそうです。

参考・出典:Motor1 / McLaren / Financial Times / The Guardian / Car and Driver

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この記事を書いた人

メルセデス・ベンツ正規ディーラーを中心に、自動車業界で10年以上の経験を持つ筆者。販売現場で培った経験をもとに、高級車・新型車を中心とした自動車情報を独自の視点で発信しています。

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