BMWが2026年第3四半期の米国販売実績を発表し、ブランド全体では前年同期比3.4%増となる10万210台を販売しました。一見すると堅調な成長に見えますが、モデル別の数字を詳しく見ると、その中身はかなり異例です。
特に目を引くのが、SUV人気が続く米国市場において3シリーズが46.4%もの大幅な伸びを記録した一方、X4とiXはそろって約96%減少したことです。
BMW全体としては好調でありながら、モデルによって販売動向が極端に分かれる結果となりました。
BMWは第3四半期に10万210台を販売
BMWの2026年第3四半期における米国販売台数は10万210台となり、前年同期比で3.4%増加しました。
さらに1〜9月の累計販売台数も28万7,154台に達し、前年同期比4.3%増となっているため、ブランド全体で見れば米国事業は堅調に推移していると言えます。
ただし今回の数字で興味深いのは、すべてのモデルが均等に伸びているわけではなく、むしろ一部のモデルがBMW全体の成長を強く牽引している点です。
「セダン離れ」に逆行する3シリーズ、販売台数は46.4%増
その代表格が3シリーズです。
2026年第3四半期の3シリーズ販売台数は1万1,256台となり、前年同期の7,689台から46.4%増加しました。
しかも一時的な急増とは言い切れず、1〜9月の累計販売台数も2万9,987台と前年同期比37.3%増を記録しています。
米国では長年にわたってSUVへの需要シフトが進み、「セダン離れ」が指摘されてきましたが、その市場環境の中でスポーツセダンの代表格である3シリーズがこれほど大きく販売を伸ばしているのは注目すべき動きです。
一方、同じ乗用車系でも4シリーズは第3四半期がおおむね前年並みにとどまり、1〜9月累計では24.4%減少しました。5シリーズについても第3四半期は20.6%減となっているため、BMWのセダン/クーペ系モデル全体が復調しているというより、3シリーズの強さが際立っていると考えたほうがよさそうです。
X5がBMW最大の売れ筋モデルに

SUVではX5の勢いが目立ちます。
第3四半期の販売台数は2万2,213台で前年同期比21.5%増となり、1〜9月累計では6万3,767台に達しました。
これによりX5は、6万128台のX3を上回ってBMWの米国市場におけるベストセラーモデルとなっています。
さらに第3四半期だけで見ると、X5単独の販売台数は2シリーズ、5シリーズ、7シリーズ、8シリーズ、Z4を合計した数字よりも多く、比較的大型で高価格なSUVでありながらBMWの販売を支える中心的な存在になっていることが分かります。
X3も決して不調ではなく、第3四半期は2万2,457台で7%増、1〜9月では20.2%増を記録しました。そのほかX6も20.2%増、X2も29.1%増となっており、BMWのSUVラインナップ全体には依然として強い需要があります。
X4はわずか72台、96.1%減という衝撃的な数字
その一方で、同じSUVでもX4はまったく異なる状況となりました。
前年同期には1,826台を販売していましたが、2026年第3四半期はわずか72台まで減少し、前年同期比96.1%減となっています。
ただし、この数字だけを見て「X4の人気が突然なくなった」と判断するのは適切ではありません。モデルサイクルやラインナップ変更などの影響も考慮する必要があり、今回の販売実績は純粋な市場人気だけでは説明できない特殊な状況を含んでいると見るべきでしょう。
それでも、X3やX5、X6が大幅に販売を伸ばしている中でX4だけがほぼ消滅に近い販売台数となっていることは、BMWのSUVラインナップ再編を象徴する数字と言えそうです。
iXも96.1%減、BMWのEV販売には逆風
さらに驚くべきなのが電気自動車のiXです。
前年同期の3,136台から2026年第3四半期には121台まで減少し、こちらもX4とまったく同じ96.1%減を記録しました。
BMWは電動車全体の販売が24.9%減少した背景について、市場環境に加えて計画されていたモデル切り替えの影響があると説明しており、新世代EVの投入が進む過渡期であることを考える必要があります。
BMWはNeue Klasse(ノイエ・クラッセ)を軸として電動化戦略を大きく転換しているため、現在の数字だけでBMWのEV戦略そのものが失敗していると結論付けることはできません。
むしろ興味深いのは、完全なEVが苦戦する一方でプラグインハイブリッド車は第3四半期に23.2%増加していることです。
EVへ一気に移行するのではなく、内燃機関と電動化を組み合わせたPHEVを現実的な選択肢として選ぶユーザーが増えている可能性があり、今後BMWがどのようにパワートレインの構成を調整していくのかにも注目したいところです。
MINIは10.2%減、ただしコンバーチブルは好調
BMWグループ傘下のMINIはBMWブランドとは対照的な結果となりました。
第3四半期の販売台数は6,531台で前年同期比10.2%減、1〜9月累計でも7.4%減少しています。
主力のCountrymanは第3四半期に2,390台となり28.1%減少しましたが、一方でCooper Convertibleは29.8%増、1〜9月累計では41%増という好調ぶりを見せています。
実用性を重視するSUVが圧倒的に強い米国市場で、趣味性の高いコンバーチブルが伸びているのは興味深い現象です。
BMWの「3.4%増」だけでは見えてこない市場の変化
BMWとMINIを合わせた第3四半期の販売台数は10万6,741台で、前年同期比2.5%増となりました。
BMWブランドだけを見れば3.4%増という比較的穏やかな成長ですが、その内訳を見ると、3シリーズは46.4%増、X5は21.5%増となる一方、X4とiXはそろって96.1%減という極端な結果になっています。
特に印象的なのは、SUV全盛の米国で3シリーズという伝統的なスポーツセダンが再び存在感を強めていること、そして大型かつ高価格なX5がBMW最大の売れ筋モデルになっていることです。
同時に、EVについてはモデル切り替えという事情を考慮する必要があるものの、PHEVが23.2%伸びている点を含めると、米国の高級車市場が単純に「内燃機関からEVへ」という一直線の変化をしているわけではないことも見えてきます。
BMWは内燃機関、PHEV、EVを並行して展開する戦略を続けていますが、今回の販売実績を見る限り、その柔軟性はむしろ今後の市場変化に対応するうえで大きな武器になるのかもしれません。
参考・出典:Carscoops / BMW




