MINIだと思ったらスズキ・スイフトだった。インドネシアで生まれた驚きの改造車

一見すると、かつてBMW傘下のMINIが販売していた個性的な2シータークーペ。しかし、その正体は日本のスズキが製造したコンパクトカー「スイフト」だったという、思わず二度見してしまう車両がインドネシアで発見されました。

海外自動車メディアCarscoopsが紹介したこの車両は、2011年式のスズキ・スイフトをベースに、MINIクーペ(R58)の特徴的なデザインを再現したカスタムカーです。

単にヘッドライトやバンパーを交換しただけではなく、ルーフ形状からリアエンドに至るまで大幅な改造が施されており、その完成度からは製作者の並々ならぬ情熱が伝わってきます。

しかも、この奇妙で魅力的な一台は、現在中古車として販売されています。

目次

スイフトをMINIクーペに変身させた大胆な改造

今回の車両が再現しているのは、MINIが2011年から2015年にかけて製造していた「MINIクーペ(R58)」です。

MINIクーペは、当時のMINIハッチバック(R56)をベースに開発された2人乗りモデルで、独特な低いルーフラインとコンパクトなボディが特徴でした。

今回の改造車では、その個性的なスタイリングを再現するため、スイフトのボディに大規模な変更が加えられています。

フロントにはMINIを象徴する丸型ヘッドライトを採用し、グリルやボンネット、バンパーも専用形状へ変更。純正MINIと完全に同じデザインではないものの、全体の雰囲気は確かにMINIクーペを思わせます。

さらに注目すべきなのがリアセクションです。

製作者はスイフトのルーフ後方を切断し、傾斜したリアウインドウと固定式リアスポイラーを組み合わせることで、MINIクーペ特有のシルエットを作り出しました。

リアにはユニオンジャックをモチーフとしたテールランプを装着し、ディフューザー風のバンパーも採用しています。ホワイトのアルミホイールやサイドスカートも、スポーティな印象を強める要素となっています。

ただし、リアには「Swift Sport」のデカールが残されており、MINIの姿をまといながらも、スズキとしての出自を完全には隠していないところが面白いポイントです。

ドアを開けるとスズキ。さらにトヨタの名前まで登場

外観は大きく作り替えられていますが、室内に目を向けるとベース車両の面影がはっきりと残されています。

ダッシュボードやステアリングホイールはスズキ純正のままであり、運転席に座れば、この車両がMINIではなくスイフトであることはすぐに分かります。

一方、シートやドアトリムにはダイヤモンドステッチを施した合成皮革が使用され、標準仕様よりも華やかな雰囲気に仕上げられています。

そして、さらに興味深いのがフロアマットです。

なんと、そこにはトヨタのモータースポーツブランド「TRD(Toyota Racing Development)」のロゴが入っています。

外観はMINI、基本構造はスズキ、そして足元にはトヨタという、国籍もブランドも異なる3社が一台の車両に共存していることになります。

もちろん、これは3社が共同開発した車両ではなく、オーナーの自由な発想によって生み出されたものですが、メーカー純正では決して実現しない組み合わせこそ、カスタムカーならではの魅力といえるでしょう。

ベース車両は2011年式スイフト。エンジンは純正の可能性

販売情報によると、この車両のベースは2011年式のスズキ・スイフト(ZC21S型)です。

パワートレインに関する改造情報が確認できないことから、純正の1.5リッター自然吸気エンジンとCVTを搭載している可能性が高いと伝えています。

項目内容
ベース車両スズキ・スイフト
年式2011年
型式ZC21S
エンジン1.5L 直列4気筒自然吸気(推定)
最高出力約110PS(純正仕様参考値)
トランスミッションCVT(推定)
外装MINIクーペ風カスタム
販売地域インドネシア・セウォン

本物のMINIクーペには、1.6リッターターボエンジンを搭載した高性能なジョン・クーパー・ワークス(JCW)も存在しましたが、今回の車両はそうした走行性能まで再現したものではないようです。

つまり、スポーツカーのような外観を楽しみながら、日常的にはコンパクトカーとして使用するという、見た目を重視したカスタムと考えられます。

販売価格は約110万円。果たして安いのか

このMINI風スイフトは、インドネシアのFacebook Marketplaceに出品されており、希望販売価格は1億2,900万インドネシアルピアです。

Carscoopsでは約7,200ドルと紹介されており、1ドル=153円で参考換算すると、日本円では約110万円となります。

販売者によれば、電装系は正常に作動しており、エンジンにオイル漏れはなく、室内もきれいな状態に保たれているとのことです。ただし、これらはあくまで販売者の説明であり、第三者による車両検査結果が示されているわけではありません。

約110万円という価格をどう評価するかは難しいところですが、通常の中古スイフトとして考えれば決して安価とはいえない一方、これだけ大規模なボディ加工を施したワンオフ車両であることを考えると、製作にかかった手間や費用は相当なものだったと推測されます。

もっとも、ルーフの切断やボディ形状の変更は車体剛性や衝突安全性にも関わるため、見た目の完成度だけで車両の安全性を判断することはできません。

なぜMINIクーペだったのか。生産終了から10年以上経った今も残る魅力

今回の改造車が興味深いのは、数あるMINIのなかでも、あえて生産期間の短かったMINIクーペを再現している点です。

MINIクーペは2011年に登場したものの、2015年には生産を終了しました。MINIらしい丸型ヘッドライトやコンパクトな車体を維持しながら、2人乗り専用の低いルーフを与えられた独特なモデルであり、現在のMINIラインアップにも直接的な後継車は存在しません。

一般的なMINIハッチバックとは明らかに異なるシルエットを持っていたことから、販売終了後も一部の愛好家に強い印象を残しているモデルです。

今回の製作者がどのような経緯でMINIクーペに魅了されたのかは明らかになっていませんが、スイフトのルーフを切断してまで再現しようとした事実からは、このデザインに対する強いこだわりがうかがえます。

自動車メーカーが開発した完成品を購入するのではなく、自分が所有する車両を理想の姿に作り替えるという発想は、自動車趣味の自由さを象徴しているようにも感じられます。

まとめ:本物ではないからこそ面白い、世界に一台のMINI風スイフト

今回発見されたMINIクーペ風スイフトは、決して本物のMINIと同じ性能や品質を追求した車両ではありません。

しかし、スズキのコンパクトカーをベースに、すでに生産を終了したMINIクーペのスタイリングを再現するという発想には、メーカーの枠にとらわれない自動車愛好家ならではの楽しさがあります。

特に、外観の大部分を変更しながら室内にはスズキの面影を残し、さらにトヨタのTRDロゴまで組み合わせている点は、ある意味でこの車両の個性を最もよく表しているのかもしれません。

約110万円という価格で新たなオーナーが現れるのかは分かりませんが、少なくとも街中で見かければ、思わず振り返ってしまう一台であることは間違いないでしょう。

参考・出典:Carscoops / Facebook Marketplace

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この記事を書いた人

メルセデス・ベンツ正規ディーラーを中心に、自動車業界で10年以上の経験を持つ筆者。販売現場で培った経験をもとに、高級車・新型車を中心とした自動車情報を独自の視点で発信しています。

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