2024年に登場したばかりの現行BMW M5が、早くも大幅なデザイン変更に向けて動き出しています。
ドイツ・ニュルブルクリンク北コースで、2028年型として登場するとみられる改良型BMW M5(G90)の開発車両が撮影されました。厳重なカモフラージュに覆われているものの、そのフロントマスクには現行モデルとは明らかに異なる造形が確認でき、BMWが次世代車に導入する「ノイエ・クラッセ」のデザイン思想が反映されていることがうかがえます。
さらに、室内には次世代インフォテインメントシステムの採用が見込まれる一方、パワートレインについては4.4リッターV8ツインターボと電動モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドを継続する見通しです。
単なるフェイスリフトにとどまらない今回の改良は、BMW Mの将来を占う重要な転換点になるかもしれません。

現行M5とは明らかに異なるフロントデザイン

今回撮影された開発車両で最も注目すべきなのは、フロントマスクの変化です。
現行M5は大型のキドニーグリルと存在感の強いヘッドライトを特徴としていますが、改良型ではグリルが横方向に細長い形状へと変更され、ヘッドライトも従来よりシャープな印象になっています。
特に注目されるのが、フロントノーズ全体を前方へ突き出したように見せる「シャークノーズ」の造形です。これはBMWが新世代モデルで採用を進めるデザイン要素のひとつであり、M5にもその方向性が取り入れられる可能性があります。
また、フロントバンパーには複数の開口部を備えた大型エアインテークが確認でき、左右にはブレーキ冷却を意識したとみられる台形状のダクトも配置されています。
こうした変更は見た目の新鮮さだけを目的としたものではなく、高性能なV8ハイブリッドシステムの冷却性能や空力特性にも関係していると考えられます。
ただし、撮影車両には開発用の仮設部品も装着されているため、最終的な市販デザインがそのままの形になるとは限りません。
ノイエ・クラッセの影響を受けながらもM5らしさを維持

BMWが進めている「ノイエ・クラッセ」は、単なる新しい車両シリーズではなく、デザイン、デジタル技術、電動化を含むブランド全体の次世代戦略です。
新型iX3などで具体化されたこの方向性は、今後のBMW各モデルにも広がっていくとみられています。
一方で、改良型M5の開発過程については興味深い情報もあります。
BMW専門メディアのBMWBLOGによれば、開発初期にはノイエ・クラッセのデザインをより強く反映したフロントマスクが検討されていたものの、その後は従来のM5に近いデザインへ方向転換したと報じられています。
今回の開発車両でも、キドニーグリルは完全な横一文字のデザインではなく、BMW伝統の左右に分かれた形状を維持しているように見えます。
つまりBMWは、新世代のデザイン言語を取り入れながらも、M5という歴史ある高性能セダンの個性を失わないことを重視している可能性があります。
リアデザインも刷新 4本出しマフラーは継続へ

フロントほど劇的ではないものの、リアにもいくつかの変更が確認されています。
テールランプは現行モデルと近い輪郭を維持しながら、内部のLEDグラフィックが新しくなる見込みです。また、リアバンパー下部のディフューザーも一体感を強めた造形へ変更される可能性があります。
一方、BMW Mモデルを象徴する左右合計4本のエキゾーストパイプや、トランクリッド後端の小型スポイラーについては、基本的な構成が引き継がれるとみられています。
側面のドアやサイドスカートにも大きな変更は確認されておらず、ボディ全体の基本構造は維持しつつ、前後のデザインを中心に刷新する方針と考えられます。
室内はさらに大きく変わる可能性 次世代iDriveを採用へ
外観以上に大きな進化が期待されているのがインテリアです。
改良型M5には、BMWの次世代デジタルシステム「Panoramic iDrive」が導入される見通しで、フロントウインドウ下部に情報を横長に表示するBMW Panoramic Visionや、大型センターディスプレイが採用されると予想されています。
従来のメーターパネルを中心とした情報表示から、ドライバーの視線移動を抑えた新しい操作環境へと移行することになります。
さらに、ステアリングホイールの形状変更や、必要な場面で操作部を表示する「シャイ・テック」と呼ばれる技術の採用も見込まれています。
一方で、長年BMWの操作系を象徴してきたiDriveコントローラーが廃止される可能性も報じられており、物理スイッチを好むユーザーにとっては評価が分かれる部分になるかもしれません。
高性能車であるM5では、サーキット走行中の操作性も重要になるため、デジタル化と直感的な操作の両立がどこまで実現されるのか注目されます。
727PSのV8プラグインハイブリッドは継続か
改良型M5のパワートレインについては、現行モデルと同様の4.4リッターV型8気筒ツインターボエンジンと電動モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドシステムが継続される見通しです。
現行型の主要スペックは以下のとおりです。
| 項目 | 現行BMW M5(G90) |
|---|---|
| エンジン | 4.4L V8ツインターボ |
| 電動化方式 | プラグインハイブリッド |
| システム最高出力 | 727PS |
| 最大トルク | 1,000Nm |
| トランスミッション | 8速Mステップトロニック |
| 駆動方式 | M xDrive(4WD) |
| 0-100km/h加速 | 3.5秒 |
| 車両重量 | 約2.4〜2.5トン(仕様による) |
現行M5は727PSという圧倒的なシステム出力を実現する一方、電動化によって車両重量が大きく増加したことでも話題になりました。
今回の改良でも基本的なハイブリッド構成は維持されるとみられていますが、米国仕様では出力向上の可能性が指摘されている一方、欧州仕様では排出ガス規制への対応が引き続き重要な課題となっています。
なお、改良型の正式な最高出力や重量、加速性能については現時点で発表されていません。
約2.5トンの重量問題は改善されるのか
現行M5について議論の中心となってきたのが、歴代モデルと比較して大幅に増加した車両重量です。
プラグインハイブリッド化によって強力な加速性能と電動走行能力を獲得した一方、重量増加はコーナリングやブレーキング、タイヤへの負担にも影響します。
もっとも、現行M5は高度なシャシー制御や四輪駆動システムによって、その重量を感じさせにくい走行性能を実現していると評価されています。
今回、ニュルブルクリンクで開発テストが続けられていることから、改良型ではサスペンションや電子制御の熟成が進められている可能性があります。
ただし、バッテリーや電動モーターを含む基本構成が継続されるのであれば、劇的な軽量化を期待するのは難しいでしょう。
むしろBMWが目指しているのは、重量そのものを大きく減らすことではなく、重量を感じさせない運動性能をさらに高めることなのかもしれません。
発表は2027年、日本導入は2027年後半以降か
改良型BMW M5は2027年中に正式発表され、2028年モデルとして展開されると予想されています。
BMWBLOGでは2027年7月頃の生産開始が噂されており、現行M5セダンだけでなく、M5ツーリングにも同様の改良が施される可能性が高いとみられています。
日本市場については正式な導入時期や価格は発表されていませんが、海外での生産開始時期を踏まえると、2027年後半から2028年にかけて導入される可能性があります。
ただし、これは現時点の情報に基づく予測であり、日本仕様の詳細についてはBMWからの正式発表を待つ必要があります。
M5は電動化時代にもV8を守り続ける
今回の改良型M5で興味深いのは、BMWが次世代のデザインやデジタル技術を積極的に取り入れながらも、パワートレインの中心には引き続きV8エンジンを据えるとみられていることです。
高性能車の世界では電動化が急速に進み、最高出力や加速性能だけであれば純電気自動車でも極めて高い水準に到達しています。しかし、エンジンの回転上昇に伴うフィーリングや排気音、機械的な一体感といった要素は、依然として高性能スポーツセダンの魅力を構成する重要な部分です。
BMW M5は、その両方を成立させるためにプラグインハイブリッドという道を選びました。
今回のフェイスリフトは、単にデザインを新しくするだけではなく、伝統的な高性能エンジンと次世代技術をどのように共存させていくのか、その方向性をより明確に示すモデルになるでしょう。
2027年の正式発表に向けて、今後の開発車両の変化にも注目したいところです。
参考・出典:Autoblog / BMWBLOG / Carscoops / BMW




