安全性と実用性を象徴するクラシック・ボルボが、ランボルギーニのV10エンジンを積んだドラッグマシンへと変貌しました。
スウェーデンのビルダー兼YouTuber、Peter Björck氏が製作したボルボ240は、ランボルギーニ由来の5.2リッターV10エンジンをミッドシップに搭載し、さらにツインターボ化。それだけでも十分に常識外れですが、駆動方式にはAWDを採用しており、ドラッグストリップでは1/8マイル(約201m)をわずか5.34秒で走破しました。
ゴール時の速度は137mph、約220km/hに達しています。
安全・堅牢の象徴だったボルボ240

ボルボ240のルーツとなる200シリーズが登場したのは1974年です。
角張ったボディと堅牢な設計、そして高い安全性によって長年ボルボを象徴する存在となり、1993年まで約19年間にわたって生産されました。シリーズ累計生産台数は280万台以上に達しています。
もちろんターボモデルなども存在しましたが、本来の240は圧倒的な速さを追求したスポーツカーではありません。
だからこそ、そのボディからランボルギーニV10の甲高いサウンドが聞こえてくる光景には強烈な違和感があります。
中身はほぼスーパーカー。5.2L V10をミッドシップ搭載

Björck氏が製作したマシンは「Waffle(Waffles/Våfflan)」と呼ばれており、ベースとなったクラシックなボルボ240の姿を残しているものの、その中身は一般的なエンジンスワップ車とはまったく異なります。
搭載されるのはランボルギーニ系の5.2リッターV10エンジンで、これをフロントではなくキャビン後方へ配置。さらに2基のターボチャージャーを組み合わせています。
エンジン内部にも手が入り、鍛造コンロッドやCP製ピストンなどを採用。トランスミッションにはDL800 DCTが組み合わされ、駆動方式はAWDとなっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ベース車 | ボルボ240 |
| エンジン | 5.2L V10 |
| エンジン配置 | ミッドシップ |
| 過給方式 | ツインターボ |
| 駆動方式 | AWD |
| トランスミッション | DL800 DCT |
| 燃料 | E85 |
| 1/8マイル | 5.34秒 |
| 1/8マイル終速 | 137mph(約220km/h) |
| 車重 | 約1,437kg |
ただし、オリジナルの240にV10を押し込んだだけではありません。専用のチューブフレームを使用するなどシャシーにも大幅な変更が施されているため、実態としては「ボルボ240の姿をした専用マシン」と考えたほうが適切でしょう。
1/8マイル5.34秒、しかもまだ完成形ではない

このマシンが特に驚異的なのは、完成された状態ではないにもかかわらず、すでにドラッグストリップで強烈なタイムを記録していることです。
ベストランでは60フィートを1.29秒で通過し、1/8マイルを5.34秒、終速137mph(約220km/h)で走破しました。
しかも問題になったのは「パワーがありすぎてタイヤが空転する」ことではなく、強烈なトラクションによってフロントが持ち上がってしまうことでした。
AWDによって4輪へ強大なトルクを伝えた結果、スタート時にはウイリーするほどの加速を見せており、MoTeCの制御システムが車体の姿勢変化を検知して出力を抑えてしまう場面もあったとされています。
つまり、5.34秒という数字でさえ、このクルマの潜在能力を完全に引き出した結果ではありません。
約1,437kgからさらなる軽量化も計画
現在の車重は約1,437kgとされています。
Björck氏はカーボンファイバー製パーツなどを導入して軽量化を進める考えで、The Driveによれば、可能な限り1,000kgに近づけることを目標としています。
ただし、大型V10エンジンにツインターボシステム、AWD機構、DCT、そしてドラッグ走行に耐えるシャシーを備えていることを考えれば、大幅な軽量化は簡単ではないでしょう。
それでも重量を削りながらエンジンとAWD制御を煮詰めることができれば、現在の5.34秒というタイムからさらに短縮できる可能性があります。
もう1台の「Volvoghini」も所有

さらに驚くべきことに、Björck氏が所有するランボルギーニV10搭載ボルボは、この1台だけではありません。
以前から「Volvoghini」と呼ばれるボルボ240ワゴンも製作しており、こちらにもランボルギーニ・ガヤルド系のV10エンジンが搭載されています。
ただしWaffleとは異なり、VolvoghiniではV10をフロントに搭載。古びたボディの雰囲気をあえて残しているため、外観だけを見ればクラシックなボルボワゴンそのものですが、アクセルを踏み込めばV10特有のサウンドを響かせるという強烈なギャップを持っています。
「羊の皮を被った狼」を極限まで突き詰めた1台
ボルボ240とランボルギーニV10。
本来なら交わることのない2つを組み合わせただけでも十分に面白いのですが、Waffleはさらにツインターボ、ミッドシップ、AWDという要素まで加えています。
ここまで来ると「ボルボ240のチューニングカー」と呼ぶには少々無理があり、240のボディをまとったオリジナルのスーパードラッグマシンと表現したほうが近いでしょう。
それでも、あえて誰もが知る四角いボルボの姿を残しているところに、このプロジェクト最大の魅力があります。
安全で頑丈、そしてどこか真面目なクルマというイメージのボルボ240が、ランボルギーニV10を轟かせながらフロントタイヤを浮かせ、わずか約200mで220km/hに到達する。そのギャップだけでも、このマシンが世界中から注目を集める理由として十分ではないでしょうか。
しかも現段階では制御やセッティングに改善の余地が残されているため、今後どこまでタイムを縮めてくるのかにも注目です。
参考・出典:Autoblog / The Drive / Nitroz.se




