レクサスは2026年9月30日、ラグジュアリーSUV「RX」の一部改良モデルを発表し、同日より全国のレクサス店で販売を開始しました。
今回の変更は、装備を追加して商品力を高めるだけの一般的な年次改良とは少し様子が異なります。レクサスは日本の「Toyota Technical Center Shimoyama(TTC-S)」で培ってきたRXの走りを、さらにドイツのニュルブルクリンクへ持ち込み、シャシー制御を改めて煮詰めています。
RXは快適性を重視するラグジュアリーSUVですが、今回レクサスが手を入れたのは、まさにその「走りの質」の部分です。
なぜRXをニュルブルクリンクへ持ち込んだのか
ニュルブルクリンクと聞けば、スポーツカーのラップタイム競争を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、レクサスが今回RXを持ち込んだ目的は、必ずしも速さを追求するためではありません。
ニュルブルクリンクは高速コーナーだけでなく、路面のうねりや高低差、荒れた舗装などが混在する非常に厳しい環境を持っています。そのため、サスペンションやステアリング、車体制御の完成度を確認する場所としても適しており、そこで得られた知見を公道での乗り心地や操縦安定性へ反映できます。
今回のRXでは、まず日本のTTC-Sで基本性能を磨き、そのうえでニュルブルクリンクというさらに厳しい環境を使ってセッティングを詰めるという開発が行われました。
レクサスが目指したのは、スポーツカーのような刺激的な挙動ではなく、ドライバーの操作に対して自然かつリニアに反応しながら、荒れた路面でも車体をしなやかにコントロールできるRXです。
AVS、EPS、DRSまで制御を最適化
今回の改良で手が加えられたのは、AVS(Adaptive Variable Suspension System)の減衰特性だけではありません。
EPS(Electric Power Steering)やDRS(Dynamic Rear Steering)の制御についても最適化されており、ステアリングを操作した際の車両の反応と、実際に車体が動き始めるまでの一体感を高める方向で調整されています。
特にRXのようにボディサイズが大きく、快適性も求められるSUVでは、単純にサスペンションを硬くすれば走りが良くなるわけではありません。そのため、荒れた路面をいなしながら、コーナリングではドライバーの操作に素直に反応するという相反しやすい性能を、電子制御を含めてバランスさせることが重要になります。
ニュルブルクリンクでのテストも、そのバランスをさらに高いレベルへ引き上げるために行われたと考えれば、今回の一部改良の意味が見えてきます。
デジタルインナーミラーとドラレコを標準装備
走行性能だけでなく、装備面にも変更が加えられました。
これまでRX500hとRX450h+に採用されていたデジタルインナーミラーと、前後方を記録するドライブレコーダーが、今回からRX350hとRX350にも標準装備されます。
これにより、RXシリーズの幅広いグレードで安全・利便装備が充実することになりました。
さらに全車のフロントドアガラスにはIRカット機能が追加され、日差しによる車内温度上昇を抑える方向で快適性を向上させています。
日常的に便利なのが、ブレーキホールドにも「スタンバイメモリ機能」が追加されたことです。
これまで乗車するたびに設定することを煩わしく感じていたユーザーにとっては小さいようで大きな変更で、イグニッションON時に以前の設定状態を保持できるようになります。
version Lに新色、F SPORTは赤いキャリパーへ
エクステリアにも細かな変更が加えられています。
「version L」には、新たに「ホワイトノーヴァガラスフレーク」が設定されました。
一方、「F SPORT Performance」と「F SPORT」でメーカーオプションとして設定されるブレーキキャリパーについては、カラーをレッドへ変更しています。
大規模なデザイン変更ではありませんが、特にF SPORT系では足元に赤いアクセントが入ることで、スポーティなキャラクターをこれまで以上に明確に打ち出せそうです。
新型レクサスRXの価格は704万円から
今回発表されたRXのメーカー希望小売価格は、消費税込みで704万円から929万円です。
| モデル | 駆動方式 | 価格帯 |
|---|---|---|
| RX350 | 2WD / AWD | 704万円〜 |
| RX350h | 2WD / AWD | グレードにより設定 |
| RX450h+ | AWD | グレードにより設定 |
| RX500h “F SPORT Performance” | AWD | 929万円 |
エントリー価格となるRX350の2WDが704万円、シリーズ上位となるRX500h “F SPORT Performance” AWDが929万円となっています。
単純に装備を増やすだけではなく、シャシー制御にも手を入れながら商品力を高めたことを考えると、今回の改良では価格そのもの以上に「既存のRXをどこまで成熟させられるか」が重視されている印象です。
フルモデルチェンジを待たず、現行RXをさらに熟成
今回のRXで興味深いのは、大掛かりなモデルチェンジを行わなくても、クルマの印象を左右する部分を細かく改善していることです。
デジタルインナーミラーやドライブレコーダー、IRカットガラスといった装備追加は分かりやすい一方、AVSやEPS、DRSの制御変更はカタログを眺めているだけでは違いが伝わりにくい部分でもあります。
しかし実際にクルマを運転したとき、ステアリングを切った瞬間の反応や荒れた路面を通過した際の車体の収まり方など、こうした細かなチューニングこそが「高級車らしさ」を左右します。
しかも今回は、TTC-Sで開発を進めたうえでニュルブルクリンクまで持ち込み、より厳しい環境でRXの走りを改めて磨き直しました。
ニュルブルクリンクという言葉からRXが突然スポーツSUVへ変貌したように捉える必要はありません。むしろ、速さそのものではなく、ドライバーの操作に対する自然な反応と乗員が感じる快適性を両立させるために世界有数の厳しいコースを利用したところに、今回の改良の意味があります。
派手なデザイン変更こそありませんが、現行RXの完成度をもう一段引き上げる「熟成型」のアップデートといえそうです。
参考・出典:Lexus




