BMWが公開した公式映像の中に、まだ正式発表されていない2028年型「5シリーズ」とみられる車両が映り込んでいたとして話題になっています。
しかも今回興味深いのは、単なる開発車両の目撃ではありません。映像が撮影されたのはBMWのディンゴルフィング工場で、そこに映った車両は現行5シリーズとは明らかに異なるフロントデザインを備えていました。
BMWがNeue Klasse(ノイエ・クラッセ)のデザイン思想を既存モデルへ急速に広げていることを考えると、今回映り込んだ車両は、2028年モデルとして登場するとみられる現行G60型5シリーズのLCI(フェイスリフト)である可能性があります。
BMW公式動画に謎の5シリーズが映り込む
発端となったのは、新型3シリーズを紹介するBMW Groupの公式映像です。
映像にはドイツ・ディンゴルフィング工場の生産ラインが登場しますが、その背景に新型3シリーズとは明らかに異なる車両が映っており、海外のユーザーがこれを発見しました。
注目された車両はボディ形状こそ現行G60型5シリーズに近いものの、フロントマスクが大きく異なっています。
その後、この映像は削除されたと報じられており、これがさらに「BMWが未発表モデルを誤って公開してしまったのではないか」という憶測を呼ぶことになりました。
もちろん、映像の削除理由がこの車両の映り込みだったのかは確認されておらず、現時点ではBMWもこの車両について正式な説明を行っていません。
巨大化したキドニーグリルが再び小さくなる?

映像から読み取れる最大の変化はフロントデザインです。
現行5シリーズでは比較的大きなキドニーグリルがフロントマスクの中心に配置されていますが、映り込んだ車両ではグリルがよりコンパクトになり、その周囲にはNeue Klasse世代を思わせるシャープなデザインが採用されているように見えます。
ヘッドライトも現行モデルより細くなっているようで、バンパーについても滑らかでシンプルな造形へ変更されている可能性があります。
一方、サイドビューを見る限りボディそのものに大幅な変更は見られません。
つまり、完全なフルモデルチェンジではなく、現行G60型の基本骨格を維持しながらフロントとリア、そしてインテリアを大幅に刷新するBMWらしいLCIになる可能性が高そうです。
「Neue Klasse顔」への移行はBMW全体で進む
今回の5シリーズを考えるうえで重要なのが、BMWが進めているNeue Klasseデザインへの移行です。
Neue Klasseは単なるEV専用プラットフォームというだけではなく、BMWのデザイン、デジタルインターフェース、電動化技術などを包括する次世代戦略として位置付けられています。
すでに新世代モデルでは、従来とは異なる薄型ライトやキドニーグリルの表現が採用され始めており、BMWはこの新しいデザイン思想を今後の幅広いモデルへ展開していく方針です。
そのため5シリーズについても、完全なNeue Klasse世代へモデルチェンジするまで待つのではなく、LCIの段階で新しいBMWのデザインへ近づけることには十分な合理性があります。
現行5シリーズだけが旧世代のデザイン言語を残してしまえば、3シリーズや7シリーズなどとの統一感が薄れてしまうからです。
インテリアはさらに大きく変わる可能性
外観以上に大きな変化が予想されるのがインテリアです。
海外では、フェイスリフト版5シリーズにBMWの最新「iDrive X」と「Panoramic Vision」が導入される可能性が報じられています。
Panoramic Visionはフロントウインドウ下部の広い範囲を利用して速度やナビゲーションなどの情報を表示するBMWの新世代ディスプレイシステムで、従来のメーターパネルとは考え方そのものが異なります。
これが5シリーズにも導入されれば、現在のカーブドディスプレイを中心としたコックピットから、かなり印象の異なるインテリアへ変化することになります。
さらにNeue Klasse世代では物理式のiDriveコントローラーが廃止される方向にあり、5シリーズでも長年BMWを象徴してきたセンターコンソールのダイヤルが姿を消す可能性があります。
i5はバッテリー技術も大幅進化か
電気自動車版「i5」については、外観だけではなく中身にも大きなアップデートが期待されています。
BMWはNeue Klasse向けに第6世代(Gen6)の円筒形バッテリーセルを開発しており、従来の角型セルに対して体積エネルギー密度を約20%高める技術を展開しています。
すでに上位モデルのi7でも新世代バッテリー技術の導入が進んでいるため、同じCLAR系アーキテクチャを使用するi5へ展開される可能性も指摘されています。
もしこれが実現すれば、2028年型5シリーズのLCIは「顔を変えただけ」のマイナーチェンジではなく、デジタル技術とEV性能までNeue Klasse世代へ近づける非常に大規模なアップデートになるかもしれません。
5シリーズは「新しいBMW」と「従来のBMW」をつなぐ存在に
今回映り込んだ車両が本当に2028年型5シリーズLCIだったとしても、BMWがNeue Klasseのデザインをそのまま移植するわけではなさそうです。
むしろ現行G60型のボディを残しながら、ライトやグリル、インテリアなどを新世代BMWへ段階的に移行させる「橋渡し」のようなモデルになる可能性があります。
個人的にも興味深いのは、近年大型化が続いてきたキドニーグリルが、Neue Klasseでは再び横方向を意識した比較的控えめなデザインへ変化していることです。
BMWは巨大なグリルによる強烈な存在感から、ライトとグリルを一体的に見せる新しいブランドフェイスへ軸足を移し始めています。
5シリーズはBMWを代表するビジネスセダンだけに、このモデルがどの程度Neue Klasseのデザインを取り入れるのかは、今後のBMW全体の方向性を見るうえでも重要なポイントになりそうです。
海外ではG60型5シリーズLCIの生産開始が2027年7月頃になるとの情報も出ています。
今回の映像が本当に量産に近い車両を捉えたものなのか、それとも試作車だったのかはまだ分かりませんが、BMW公式映像から飛び出した一瞬の「映り込み」が、次期5シリーズの姿をひと足早く見せてしまった可能性は十分にありそうです。
参考・出典:Autoblog / BMW Group / BMWBLOG / autoevolution




