ポルシェが開発を進めている次世代コンパクトSUVのプロトタイプが、ドイツのニュルブルクリンクで目撃されました。
今回確認された車両は、一見するとアウディQ5ですが、車体の前後や側面には奇妙な三角形の突起物が取り付けられており、通常のテスト車両とは明らかに異なる姿をしています。
その正体は、2028年の登場が予定されている新型ガソリンエンジン搭載SUVの開発車両とみられています。
ポルシェはマカンの電動化を進めてきましたが、EV市場の成長が当初の想定を下回るなか、再び内燃機関を重視する方向へ戦略を転換しています。
今回のスクープは、その方針転換が実際の車両開発として進んでいることを示す興味深いニュースです。
ニュルブルクリンクに現れた奇妙なプロトタイプ

今回の開発車両が撮影されたのは、世界中の自動車メーカーが性能評価を行うドイツのニュルブルクリンクです。
車両にはアウディQ5のボディが使用されていますが、フロントバンパー下部、サイドシル、リア下部に三角形の発泡素材のような部品が装着されています。
その姿は恐竜のようにも見えますが、もちろん市販車のデザインを示しているわけではありません。
海外の報道によると、これらの部品は最低地上高や車体下部のクリアランスを確認するために取り付けられた可能性があります。
開発初期の段階では、完成したボディを用意する前に既存車両を改造して走行試験を実施することがあり、こうした車両は「テストミュール」と呼ばれます。
つまり、今回目撃された車両の外観そのものよりも、ポルシェが新型SUVの車体構造や走行性能を本格的に検証していることが重要なのです。
なぜアウディQ5のボディを使っているのか

新型SUVの開発には、フォルクスワーゲングループ内で共有される技術が活用されています。
ベースとなるのは、アウディQ5にも採用されているPPC(Premium Platform Combustion)と呼ばれる内燃機関向けプラットフォームです。
このプラットフォームは、従来型のガソリンエンジンだけでなく、電動化技術との組み合わせにも対応しており、開発期間やコストを抑えながら複数のパワートレインを展開できる利点があります。
ただし、ポルシェが目指しているのは、単にアウディQ5のエンブレムを変更したSUVではありません。
これまでの開発車両では、拡大されたフェンダーやワイドトレッド化を示唆する変更も確認されています。
こうした改良によって、ポルシェらしい俊敏なハンドリングや高速走行時の安定性を実現することが期待されます。
現行のマカンも初代アウディQ5と技術的な関係を持ちながら、独自のシャシーセッティングによってスポーティなSUVとして高い評価を得てきました。
新型モデルでも、同様の開発手法が採用される可能性があります。
ガソリンエンジンとPHEVを設定する見込み
新型SUVには、ガソリンエンジン搭載モデルに加えて、プラグインハイブリッド(PHEV)が用意される計画です。
具体的なエンジン構成や最高出力は発表されていませんが、アウディQ5との技術的な共通性を考えると、直列4気筒ターボやV型6気筒ターボなどが候補になると考えられます。
参考として、欧州市場向けアウディQ5に設定されている主なエンジンの性能を紹介します。
| エンジン | 最高出力 |
|---|---|
| 2.0L直列4気筒TFSI | 204PS |
| 2.0L直列4気筒TDI | 204PS |
| 3.0L V型6気筒TFSI | 367PS |
※アウディQ5の参考スペックであり、新型ポルシェSUVへの搭載が確定したものではありません。
ポルシェ独自のエンジン制御やサスペンション設定が施されれば、同じ基本構造を採用していても、走行性能には大きな違いが生まれる可能性があります。
特にPHEVの導入は、日常走行での電動化と長距離移動での利便性を両立するうえで重要な選択肢になるでしょう。
ポルシェがガソリンエンジンを復活させる理由
ポルシェは2024年にマカン・エレクトリックを投入し、主力SUVの電動化を進めてきました。
しかし、世界のEV需要は地域によって成長速度に差があり、ガソリンエンジン搭載車を求める顧客も依然として多い状況です。
実際、2026年上半期の世界販売では、マカンのガソリンエンジン搭載モデルが1万9,695台だったのに対し、EVモデルは1万5,620台でした。
つまり、電動化を進める一方で、従来のマカンを支持する顧客の需要を十分に置き換えられていないことが数字にも表れています。
従来型マカンの生産は2026年7月に終了しており、新型SUVが登場するまでの期間、ポルシェのラインアップにはガソリンエンジンを搭載したコンパクトSUVが存在しないことになります。
こうした状況を踏まえると、新型SUVの開発は単なるモデルチェンジではなく、販売戦略を立て直すための重要な取り組みといえるでしょう。
新型マカンは2028年に登場予定。日本発売はどうなる?
ポルシェは、2028年に新たな内燃機関搭載コンパクトSUVを投入する計画を明らかにしています。
このモデルは既存のマカン・エレクトリックと並行して販売される予定で、ガソリンエンジンとPHEVの両方が選択できる見込みです。
一時は「Octan(オクタン)」などの新名称が噂されていましたが、ポルシェの経営陣は新型SUVをマカンとして言及しており、正式名称については今後の発表が待たれます。
日本市場への導入時期や価格については、現時点で正式な発表はありません。
ただし、日本でもマカンはポルシェのラインアップを支える重要なモデルであり、ガソリンエンジン搭載SUVの復活は大きな関心を集めると考えられます。
2028年に海外で発売される場合、日本では2028年後半から2029年頃の導入も考えられますが、これは現時点での予測です。
まとめ:ポルシェはEVだけに頼らない時代へ
今回目撃された奇妙な姿のプロトタイプは、完成形のデザインを示すものではありません。
しかし、その内部では、ポルシェが次世代のガソリンエンジン搭載SUVを実現するための開発が着実に進んでいると考えられます。
特に注目したいのは、EVを廃止するのではなく、EVと内燃機関、そしてPHEVを並行して展開する方向へ舵を切っていることです。
高性能な電動SUVとして進化するマカン・エレクトリックと、エンジンならではの走行感覚を提供する新型マカン。
異なる個性を持つ2つのモデルが共存することで、ポルシェのコンパクトSUVは再び幅広い顧客層を獲得できるかもしれません。
2028年の登場に向けて、今後公開される新たなプロトタイプやパワートレインの詳細に注目したいところです。
参考・出典:Carscoops / Autoblog / Car and Driver




