Mercedes-AMGが、ブランド史上初となる「ゼロからAMGが開発したSUV」をまもなく発表します。
これまでAMGのSUVといえば、GLCやGLE、GLS、EQE SUVなど、基本となるメルセデス・ベンツの車両をベースにAMGが高性能化するという方法が一般的でした。
しかし、今回登場する新型電動SUVはまったく異なります。
車両の基本設計からパワートレイン、バッテリー、シャシーに至るまで、最初からMercedes-AMGの高性能モデルとして開発されるのです。
Autoblogによると、この新型SUVは2026年10月17日にドイツ・シュトゥットガルトで公開される予定です。
AMG史上初となる「完全自社開発SUV」

Mercedes-AMGはこれまで数多くの高性能SUVを送り出してきました。
その歴史を遡ると、約25年前に登場した「ML 55 AMG」は高性能SUVというジャンルを切り開いたモデルのひとつです。
現在でもAMGにはGLA、GLB、GLC、GLE、GLS、EQE SUV、そしてG 63など数多くのSUVが存在します。
しかし、これらは基本的にメルセデス・ベンツが開発した車両をベースとして、AMGがエンジンやシャシー、ブレーキなどを高性能化したモデルです。
今回の新型SUVは違います。
Mercedes-AMG自身が車両アーキテクチャーそのものを開発しており、AMGはこのプロジェクトを「Born in Affalterbach(アファルターバッハ生まれ)」と表現しています。
つまり、「メルセデスをAMGにする」のではなく、「最初からAMGとして作るSUV」ということです。
AMG.EAを採用する第2のモデル
新型SUVには、Mercedes-AMGが電動ハイパフォーマンスモデルのために開発した専用プラットフォーム「AMG.EA(AMG Electric Architecture)」が採用されます。
これは通常のメルセデス・ベンツEV用プラットフォームとは異なり、最初から高性能EVを作ることを目的とした専用アーキテクチャーです。
AMGはその開発思想を、
「AMG First, EV Second」
と表現しています。
EVであることを最優先するのではなく、まずAMGらしいパフォーマンスやドライビング体験を実現し、その手段として電動パワートレインを使用するという考え方です。
新型SUVは、新世代AMG GT 4ドアに続くAMG.EA採用第2弾モデルとなります。
3基のアキシャルフラックスモーターを搭載

パワートレインで特に注目したいのが「アキシャルフラックスモーター」です。
AMG.EAでは、Mercedes-Benz傘下の英国YASAが開発したアキシャルフラックスモーターを採用します。
新型SUVについては、フロントに1基、リアに2基という3モーター構成になると報じられています。
アキシャルフラックスモーターは一般的なラジアルフラックスモーターと比較して、小型・軽量ながら非常に高い出力密度を実現できることが特徴です。
Mercedes-Benzによると、このモーターは従来型モーターに対して約3倍の出力密度を持ち、重量や搭載スペースも大幅に抑えることができます。
800Vシステム+バッテリー直接冷却
AMGが力を入れているのは、単純な最高出力だけではありません。
新型SUVでは800V電気システムに加え、円筒形バッテリーセルを直接冷却する高度な冷却システムが採用される見込みです。
高性能EVにおいて非常に重要なのが「熱」です。
一度だけ猛烈な加速ができても、バッテリーやモーターの温度が上昇して出力制限がかかってしまえば、サーキットなどでは本来の性能を発揮できません。
AMG.EAではバッテリーセルを効率的に冷却することで、高出力を繰り返し引き出せる性能を重視しています。
これはF1やMercedes-AMG ONEで培った技術とも関連しており、AMGが単なる「大出力EV」ではなく、継続的に高性能を発揮できるEVを目指していることが分かります。
最高出力は1,300馬力級になる可能性も
現時点で新型SUVの正式な最高出力は発表されていません。
ただし、これまでの情報では非常に強力なパフォーマンスが予想されています。
AMG.EAの技術を示したCONCEPT AMG GT XXでは、3基のアキシャルフラックスモーターから1,000kW以上を発生するシステムが採用されていました。
1,000kWは約1,360PSに相当します。
新型SUVについても、過去の報道では1,000kW(約1,360PS)級の性能を持つ可能性が伝えられています。
ただし、これは現時点では正式な市販モデルのスペックではないため、10月17日の正式発表を待つ必要があります。
現時点で分かっている主要スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル | Mercedes-AMG新型電動SUV |
| プラットフォーム | AMG.EA |
| 駆動方式 | 電動AWDと予想 |
| モーター | アキシャルフラックスモーター×3 |
| モーター配置 | フロント1基/リア2基 |
| 電気システム | 800V |
| バッテリー | 円筒形セル/直接冷却システム |
| 最高出力 | 未発表 |
| 参考性能 | AMG.EA技術では1,000kW超を実現 |
| 発表予定 | 2026年10月17日 |
| 市場投入 | 2027年予定 |
| 開発 | Mercedes-AMG(アファルターバッハ) |
※市販モデルの正式な最高出力、航続距離、バッテリー容量などは現時点では発表されていません。
デザインは新型AMG GT 4ドアの流れを継承

デザインについても、新世代AMGの方向性がかなり明確になってきました。
テスト車両やティザーを見る限り、新型SUVは新型AMG GT 4ドアと共通するデザイン言語を採用しています。
特にフロントマスクやライト周辺には、新世代の電動AMGを象徴するデザインが取り入れられるとみられます。
従来のAMGとはかなり異なる方向性となるため、デザインについては好みが分かれそうです。
一方で、AMG.EAモデル専用のデザインを確立するという意味では、このSUVは今後の電動AMGシリーズを占う重要なモデルになりそうです。
「速いメルセデスEV」ではないことが重要
今回の新型SUVで最も重要なのは、最高出力の数字ではないかもしれません。
すでに現在のEV市場では1,000馬力を超えるモデルも珍しくなくなっています。
AMGにとって本当に難しいのは、「EVでもAMGらしいのか」という部分です。
これまでのAMGは、V8エンジンの音やレスポンス、後輪を積極的に使ったハンドリングなど、数字だけでは表せない部分に大きな魅力がありました。
AMG.EAでは車両そのものを最初からAMGが設計することで、そのキャラクターをEVでも再現しようとしています。
だからこそMercedes-AMGは「AMG First, EV Second」という言葉を掲げているのでしょう。
AMGの電動化を決定づける重要なSUVに
Mercedes-AMGにとって、この新型SUVは単なる新型EVではありません。
AMGが初めてゼロから開発するSUVであり、さらにAMG.EAを使用する次世代モデルでもあります。
3基のアキシャルフラックスモーター、800Vシステム、直接冷却式バッテリーなど、その技術構成を見るだけでも従来のMercedes-AMG EQE SUVとは大きく異なります。
そして何より興味深いのは、「メルセデス・ベンツのSUVをAMG化する」という従来の方法から離れたことです。
10月17日の正式発表では、最高出力や0-100km/h加速、航続距離、充電性能、そして正式名称などが注目されます。
AMGが電動化によって何を失い、逆に何を手に入れるのか。
その答えを示す重要な一台になりそうです。
参考・出典:Autoblog / Mercedes-Benz / Mercedes-AMG




