メルセデスAMG、新型GT Black Seriesは「妥協なし」へ。CEOが“常識外れ”のモデルを予告

メルセデスAMGの最高峰に位置する「Black Series」が、再び帰ってきます。


現在開発が進められている次期Mercedes-AMG GT Black Seriesについて、メルセデス・ベンツCEOのオラ・ケレニウス氏が、その方向性を明らかにしました。


今回のBlack Seriesで注目したいのは、単純な最高出力の向上だけではありません。


次期モデルは新世代Mercedes-AMG GT3レーシングカーと密接な関係を持ち、AMGが持つモータースポーツ技術を公道へ持ち込む、極めて特別なモデルになるとみられています。

目次

「エンジニアを自由にさせる」次期Black Series

ケレニウスCEOは、次期Black Seriesについて、エンジニアに思い切った開発をさせるプロジェクトであることを示しています。


さらに、その仕上がりについて「insane(常識外れ)」と表現し、これまでとは異なる、誰も予想していないクルマになることを示唆しました。


近年の自動車業界では、開発コストや環境性能、生産効率などさまざまな制約の中で高性能車を開発する必要があります。


しかしBlack Seriesについては、そうした合理性だけではなく、AMGというブランドの技術力を象徴するモデルとして、性能を徹底的に追求する姿勢が取られているようです。

次世代AMG GT3と同時開発

今回のBlack Seriesを語るうえで、特に重要なのがGT3レーシングカーとの関係です。


新型AMG GT Black Seriesは、2025年に公開された「CONCEPT AMG GT TRACK SPORT」を起点として、次世代Mercedes-AMG GT3と並行して開発されています。


さらにBlack Seriesは、次世代GT3レーシングカーにつながる公道走行可能なホモロゲーションモデルという位置付けを持つことが明らかになっています。


つまり従来のAMG GTを単純に高出力化したモデルではなく、レーシングカーとロードカーを非常に近いところから開発するということです。


これは次期Black Seriesのキャラクターを考えるうえで、非常に重要なポイントでしょう。

新開発フラットプレーンクランクV8搭載の可能性

パワートレインの正式なスペックは、現時点では発表されていません。


しかし、次期Black SeriesにはAMGが開発している新世代のフラットプレーンクランクV8エンジンが搭載される可能性が高いと報じられています。


現行Mercedes-AMG GT 63 PRO 4MATIC+は最高出力612PS(450kW)を発生しますが、次期Black Seriesはこれを大幅に上回る性能になるとされています。


また、先代AMG GT Black Seriesも4.0リッターV8ツインターボから730PSを発生していました。


その後継モデルとなれば、単純な最高出力だけではなく、レスポンス、軽量化、冷却性能、空力性能などを含めた総合的なサーキット性能が追求されることになりそうです。

ハイブリッドではなく「軽さ」を選ぶのか

ここで気になるのが電動化です。


現行AMG GTには、GT 63 S E PERFORMANCEという高性能PHEVモデルが存在します。


電気モーターを組み合わせれば、Black Seriesの最高出力を大幅に引き上げること自体は難しくないでしょう。


一方で、バッテリーやモーターの搭載は重量増加につながります。


Black Seriesが目指すものが「最もパワフルなAMG GT」ではなく「最も速く、最も研ぎ澄まされたAMG GT」であるなら、軽量なV8エンジンを中心としたパワートレインを採用する可能性も十分考えられます。


Black Seriesにとって、最高出力の数字以上に「重量をどうするのか」は大きな注目ポイントになりそうです。

巨大なリアウイングなどGT3譲りのエアロ

テスト車両からも、その方向性はかなり明確になってきています。


確認されているプロトタイプには、大型フロントスプリッターや大きく張り出したボディ、そしてスワンネック式と思われる巨大なリアウイングなど、レーシングカーを思わせるエアロパーツが装着されています。


次世代GT3と並行開発されていることを考えれば、見た目だけのエアロではなく、実際のダウンフォースを重視した空力設計になる可能性が高いでしょう。


市販車というより「ナンバープレートを付けたレーシングカー」に近い存在になることが期待されます。

先代GT Black Seriesが残した「6分48秒047」

次期モデルには、もうひとつ大きなハードルがあります。


先代Mercedes-AMG GT Black Seriesは、ニュルブルクリンク北コースで6分48秒047というタイムを記録しました。


当時、市販車として世界トップクラスの記録であり、Black Seriesの名前を強烈に印象付ける結果となりました。


次期モデルがGT3との関係をさらに深め、AMG自身が「最も過激なBlack Series」を目指しているのであれば、ニュルブルクリンクで再びタイムアタックを行う可能性にも期待したくなります。


AMG ONEとは異なるフロントエンジンGTというパッケージで、どこまで記録を縮められるのかも注目です。

Black SeriesとMythosは別の存在へ

メルセデスには現在、「Mythos」という超限定モデルのシリーズも存在します。


しかしBlack Seriesは、それとは異なる方向性を持つブランドとして継続されることになりそうです。


Mythosが希少性やデザイン、コレクターズアイテムとしての価値を重視する一方、Black Seriesは純粋なパフォーマンスを追求する存在です。


AMGの元CEOであるミヒャエル・シーベ氏もBlack Seriesについて、その名前を使用する以上、性能面で説得力があり、ラディカルなモデルでなければならないという考えを示していました。


Black Seriesという名前そのものが、AMGにとって一種の約束になっているのでしょう。

発表は2027年、発売は2028年か

現在の情報では、新型Mercedes-AMG GT Black Seriesは2027年に正式発表され、2028年から販売が開始されると報じられています。


詳細な最高出力や車両重量、駆動方式、価格などはまだ明らかになっていません。


しかし、次世代GT3との共同開発、新世代V8、そしてAMG自身が「最も過激なBlack Series」と表現していることを考えると、現在のAMG GTシリーズとは明確に異なるモデルになる可能性があります。

MOTION & TIMEの視点

近年のMercedes-AMGは電動化を急速に進めてきました。

その一方で、新世代V8の開発やBlack Seriesの復活は、AMGが内燃機関を使った究極のパフォーマンスカーをまだ終わらせるつもりがないことを示しているように感じます。

特に興味深いのは、次期Black SeriesがGT3レーシングカーと非常に近い関係にあることです。

単純に「AMG GTで最も高価で最もパワフルなモデル」を作るのではなく、サーキットで速く走るために必要なものを徹底的に追求する。

それこそが、本来Black Seriesが持っていた魅力ではないでしょうか。

先代GT Black Seriesですら、現在でもAMG史上屈指のモデルとして高く評価されています。

その後継車をメルセデス自身が「最も過激なBlack Series」と位置付ける以上、期待値は非常に高くなります。

2027年の正式発表まで、エンジン、車重、空力性能、そしてニュルブルクリンクでのタイムを含め、今後明らかになる情報に注目したいところです。

参考・出典:CarBuzz / Autocar / Mercedes-AMG関連発表 / Car and Driver

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この記事を書いた人

メルセデス・ベンツ正規ディーラーを中心に、自動車業界で10年以上の経験を持つ筆者。販売現場で培った経験をもとに、高級車・新型車を中心とした自動車情報を独自の視点で発信しています。

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