マツダが考えるデジタルメーターの新しい使い方|ステアリング位置まで導く新特許

クルマのデジタル化が進むなか、メーターパネルも大型ディスプレイへと置き換わりつつありますが、マツダが考えているのは単純に「画面を大きくする」という方向ではないようです。

マツダが新たに出願した特許では、デジタルインストルメントクラスターを利用して、ドライバーがステアリングを適切な高さへ調整できるよう誘導する仕組みが示されました。

一見すると非常にシンプルなアイデアですが、その背景には「ステアリングによってメーターの情報が隠れてしまう」という、昔から存在する問題があります。

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デジタルメーターにガイドラインを表示

今回明らかになった特許で特徴的なのが、デジタルメーター上にステアリング位置を合わせるためのガイドを表示するという仕組みです。

ドライバーがステアリングの高さを調整する際、メーター内に左右のガイドラインが表示され、そのラインとステアリングホイール内側の上端を合わせることで、適切な位置へ調整できるようになっています。

つまり「このあたりが正しい位置だろう」と感覚だけで調整するのではなく、クルマ側が視覚的な基準を示してくれるわけです。

ステアリングを高くしすぎれば前方視界や運転姿勢に影響し、反対に低くしすぎればメーターの一部が隠れる可能性がありますが、このシステムなら双方のバランスを取りながら適切なポジションを探しやすくなります。

なぜステアリング位置がそれほど重要なのか

ステアリングの位置は、単に「運転しやすいかどうか」だけの問題ではありません。

位置が適切でなければ肩や腕、背中などに余計な負担がかかる可能性があるほか、メーター内に表示される速度や警告灯などがステアリングによって隠れてしまうことも考えられます。

さらに衝突時にはステアリング内部のエアバッグが展開するため、ドライバーとステアリングの位置関係も安全性を考えるうえで重要です。

近年はデジタルメーターによって表示できる情報量が増えていますが、どれほど高精細なディスプレイを採用しても、ステアリングに隠れて見えなければ意味がありません。

マツダのアイデアは、デジタル化によって情報量を増やすのではなく、デジタル技術を使って「正しく見える環境そのものを整える」という発想だと言えそうです。

派手ではないが、非常にマツダらしい技術

この特許が興味深いのは、巨大なディスプレイや派手なグラフィックを前面に押し出した技術ではないことです。

近年の自動車業界では、インテリアのデジタル化を象徴するようにディスプレイが大型化しており、メーターパネルだけでなくダッシュボード全体をディスプレイ化するモデルも珍しくなくなりました。

一方でマツダは、人間を中心にクルマを設計する「人馬一体」という考え方を長年重視しており、シートやペダル、ステアリングなどの位置関係についてもドライバーが自然な姿勢を取れることを重要視しています。

そう考えると、デジタルメーターを単なる情報表示装置としてではなく、適切なドライビングポジションを作るために利用する今回のアイデアは、かなりマツダらしいアプローチと言えるでしょう。

デジタル化=情報を増やすことではない

自動車のデジタル化では「何を表示できるか」に注目が集まりがちですが、今回の特許はその反対とも言える方向性を示しています。

重要なのは情報量そのものではなく、ドライバーが必要な情報を必要なタイミングで確実に認識できることです。

メーターを大型化して大量の情報を表示するより、まずステアリングとドライバーの位置を適切に設定し、必要な情報が自然に視界へ入るようにするという考え方は、マツダが目指すインターフェースの方向性を示しているのかもしれません。

もちろん、特許が出願されたからといって市販車への採用が決まったわけではありません。しかし実用化する場合でも大掛かりな追加装置を必要とする技術ではなく、デジタルメーターの表示機能を活用できるため、将来的な市販車への展開を想像しやすい技術でもあります。

マツダは「画面の大きさ」とは違う方向で勝負するのか

クルマのインテリアが急速にデジタル化するなか、メーカー各社は大型ディスプレイや高度なインフォテインメントシステムを競うように採用しています。

しかし、画面が大きくなれば必ず使いやすくなるわけではありません。

今回の特許から見えてくるのは、マツダがデジタル技術を「見せるための装備」ではなく、「人間が自然に運転するための補助」として利用しようとしている姿勢です。

もしこの考え方が今後の市販車にも反映されていくのであれば、マツダのデジタルコックピットは他メーカーとは少し違った進化を遂げる可能性があります。

巨大な画面や派手な演出ではなく、ステアリングを握った瞬間に自然と正しい運転姿勢が作られ、必要な情報がきちんと視界へ入る――そんな「運転する人を中心にしたデジタル化」こそ、マツダが目指している方向なのかもしれません。

参考・出典:CarBuzz / Mazda

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この記事を書いた人

メルセデス・ベンツ正規ディーラーを中心に、自動車業界で10年以上の経験を持つ筆者。販売現場で培った経験をもとに、高級車・新型車を中心とした自動車情報を独自の視点で発信しています。

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