BMWグループの新たな高級ブランドとして再出発した「BMW ALPINA」が、いよいよ本格的に動き始めます。
BMWは、新体制となってから初めて投入するBMW ALPINAの市販モデルを2027年に発表する予定であることを明らかにしました。具体的な車名や詳細なスペックについてはまだ伏せられているものの、そのモデルはBMW 7シリーズからインスピレーションを受けた4ドアモデルになるとされています。
さらに注目したいのが、新生ALPINAの立ち位置です。これまでの「BMWをベースに独自の哲学で仕立てるALPINA」から一歩進み、今後はBMWの最上級モデルとロールス・ロイスの間を埋める存在として展開されることになります。
ALPINAは2026年からBMWグループのブランドへ
ALPINAは長年、BMW車をベースとしながら、高速巡航性能と快適性、そして控えめながら上質なデザインを組み合わせた独自のモデルを生み出してきました。
BMWは2022年にALPINAブランドの商標権取得を発表し、それまでの契約が終了した2025年末を経て、2026年1月1日から「BMW ALPINA」として新たな時代をスタートさせています。
ただし、BMWが目指しているのはALPINAを単純な「BMW Mとは違う高性能ブランド」にすることではありません。
新生BMW ALPINAでは、従来から評価されてきた快適性と高速性能を受け継ぎながら、さらにラグジュアリー性を引き上げる方針であり、BMWのラインアップの中でも通常のBMWより上、ロールス・ロイスより下という非常に興味深いポジションを狙います。
第1弾は7シリーズに着想を得た4ドアモデル
BMWは現時点で、新型車の正式名称までは公表していません。
しかし、第1弾モデルについてはBMW 7シリーズからインスピレーションを受けることが公式に明らかにされており、さらにevoによれば、市販モデルは4ドアになることも確認されています。
そのため、かつての「ALPINA B7」を現代的に再解釈したようなフラッグシップセダンになる可能性が考えられます。
ただし重要なのは、単純に7シリーズへALPINAのエンブレムやホイールを装着したモデルになるわけではないという点です。
BMWはBMW ALPINAを独立した高級ブランドとして位置付けようとしており、従来以上に内外装や乗り味を差別化してくる可能性があります。
ヒントになる「Vision BMW ALPINA」
新生ALPINAのデザインを考えるうえで大きなヒントとなるのが、2026年5月にイタリアのコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステで公開された「Vision BMW ALPINA」です。
このコンセプトカーは2ドアの2+2グランドツアラーとして製作されているため、そのまま2027年の市販車になるわけではありません。
一方で、BMWグループのデザイン責任者であるエイドリアン・ファン・ホーイドンクは、このモデルによって今後のBMW ALPINAが目指す方向性を示しています。
全長は約5.23mと巨大でありながら、BMW 7シリーズより約16cm短くまとめられ、デザインには1970年代のALPINA B7 Turboを思わせる要素も盛り込まれました。
つまりVision BMW ALPINAは特定の量産車を直接予告するというより、これから登場するALPINA全体のデザイン哲学を示すモデルと考える方が自然でしょう。
「ALPINA」の文字がデザインの重要な要素に
今後のBMW ALPINAでは、ブランドを象徴するディテールも引き継がれます。
特徴的なのが、フロント部分に配置される立体的な「ALPINA」ロゴです。
Vision BMW ALPINAでは大型グリルの下にALPINAの文字が配置されており、このデザイン要素については市販モデルにも採用されることが確認されています。
さらに、ALPINAファンにはお馴染みの「デコセット」と呼ばれるボディストライプも復活する予定です。
従来はデカールとして貼り付けられていましたが、新世代ではボディ塗装のクリア層の下に施工する方式が採用される見込みで、より高級車らしい仕上げになります。
もちろん、ALPINAを象徴する20スポークデザインのホイールについても、新しい解釈で受け継がれることが期待されています。
BMW Mとは違う「速さと快適性」
ALPINAの最大の魅力は、単純な最高出力やサーキットタイムだけでは語れません。
BMW Mがよりダイレクトな運動性能を追求する一方、ALPINAは高速域での安定性と快適性を両立し、長距離を速く、そして疲れずに移動できるグランドツアラーとして独自の立場を築いてきました。
新生BMW ALPINAでも、この基本的な哲学は維持されると考えられます。
特に2027年登場予定のモデルでは、ドライバーだけではなく後席の快適性も重要な開発テーマになるとされており、7シリーズをベースとしながら、ショーファーカーとしての性格もさらに強められる可能性があります。
これは従来のB7以上にラグジュアリーへ踏み込んだ、新しいALPINAを象徴するポイントになりそうです。
狙うのはBMWとロールス・ロイスの間
そして今回、最も興味深いのがBMW ALPINAの価格帯とブランドポジションです。
BMWはALPINAをBMWの最上級モデルより上、ロールス・ロイスのエントリーモデルより下へ位置付ける方針を示しています。
つまり新生ALPINAは、これまで以上に「超高級車」へ近づくことになります。
これまでのALPINAは、BMWを知り尽くしたユーザーが選ぶ玄人好みのブランドという側面がありましたが、BMW傘下で展開される新世代では、メルセデス・マイバッハや高価格帯のレンジローバーなども意識するような存在へ進化していく可能性があります。
一方で、あまりにもラグジュアリー路線を強めれば、これまでALPINAを支持してきたファンが愛した「控えめなのに圧倒的に速いBMW」という個性をどこまで残せるのか、という点も注目されます。
2027年前半に公開か
最初の新生BMW ALPINAは2027年前半に公開され、同年秋頃から販売が開始される可能性があります。
現時点では正式名称やパワートレイン、価格などは発表されていませんが、7シリーズに着想を得た大型4ドアモデルであることを考えると、新生ALPINAの方向性を世に示すフラッグシップになることは間違いなさそうです。
これまでのALPINAが築いてきた「速さと快適性」という哲学を残しながら、BMWとロールス・ロイスの間という新しい領域へ踏み込むBMW ALPINA。
2027年に登場する第1弾モデルは、単なるB7の復活ではなく、ALPINAというブランドそのものを再定義する一台になるのかもしれません。
参考・出典:BMW Group




