ベントレー初のEV「トルカル」登場、888PSの最強モデルも設定

ベントレーが、ブランド史上初となる量産EV「Torcal(トルカル)」を正式発表しました。

単に既存モデルを電動化したものではなく、ベントレーにとって約10年ぶりとなる完全新設計モデルで、電動化時代に向けた新しいデザインやインテリア、そして強烈なパフォーマンスを盛り込んだ重要な一台です。

ラインナップには標準仕様の「Torcal」と高性能モデル「Torcal S」を設定し、Torcal Sは最高出力888PS、最大トルク1,350Nmを発揮。ベントレー史上最もパワフルな量産モデルとなります。

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ベントレー初のEVはSUV「トルカル」

ベントレーはこれまでプラグインハイブリッドによる電動化を進めてきましたが、トルカルは内燃機関を搭載しないブランド初のBEVです。

ボディはSUVスタイルながら、ベントレーが「Luxury Urban SUV」と位置付けてきたモデルで、従来のベンテイガとは異なる新たなモデルラインとして展開されます。

デザインも大きく変化しており、従来のベントレーらしい重厚感を残しながら、よりシャープでミニマルな方向へ進化しました。

特にフロントには「Floating Diamond Grille」と呼ばれる新しいデザインを採用。車両をアンロックすると、76個のLEDダイヤモンドが徐々に点灯する演出も用意されています。

Torcal Sは888PS、ベントレー史上最強に

パワートレインには前後2基の電気モーターを搭載し、四輪を駆動します。

標準仕様でも十分に強烈な性能ですが、Torcal Sではローンチコントロール使用時に888PS、1,350Nmまで引き上げられ、ベントレー史上最もパワフルな量産車となりました。

主なスペックは以下の通りです。

項目TorcalTorcal S
パワートレインデュアルモーターEVデュアルモーターEV
駆動方式AWDAWD
最高出力821PS888PS
最大トルク1,193Nm1,350Nm
0-100km/h加速約3.4秒約2.9秒
最高速度約249km/h約261km/h
バッテリー容量113kWh(使用可能容量)113kWh(使用可能容量)
航続距離最大約600km(WLTP)最大約600km(WLTP)
最大急速充電出力400kW400kW

ベントレーは1,000馬力を大きく超える出力を実現することも技術的には可能だったとされていますが、あえて過度な加速性能を追求せず、乗員が不快感を覚えない範囲に調整したといいます。

EVになっても数字だけを競うのではなく、ベントレーらしい快適性とのバランスを重視したということでしょう。

113kWhバッテリー、10〜80%を最短16分で充電

トルカルには使用可能容量113kWhの大型バッテリーが搭載され、WLTP基準で最大約600kmの航続距離を実現します。

さらに最大400kWの急速充電に対応し、条件が整えば10〜80%まで最短約16分で充電可能。わずか7分の充電で約160km分の航続距離を追加できるとされています。

大容量バッテリーを搭載した高級EVでは充電時間も重要になりますが、トルカルは長距離移動を前提とした性能もしっかりと確保しています。

EVでも「音」を捨てなかったベントレー

興味深いのが、トルカルのサウンドです。

ベントレーはV8やW12エンジンの音をそのまま人工的に再現する方法を選ばず、ドラム、ヴィオラ、ベースギターなど実際の楽器を録音し、大排気量エンジンのような重厚感を表現しました。

このシステムは「Bentley Dynamic Symphony」と呼ばれ、Sportモードではより存在感のあるサウンドを楽しめます。

さらにウインカー音には、ベントレーの内装工房で革をハンマーで叩いた音を使用し、タッチスクリーンやデジタルアシスタントにはクリスタルグラスの音を取り入れるなど、細かな部分までベントレーらしい演出が施されています。

物理スイッチもしっかり残したインテリア

近年のEVでは多くの機能を大型ディスプレイに集約する流れが続いていますが、トルカルはその方向に振り切っていません。

センターには曲面OLEDディスプレイを採用する一方、ステアリングやセンターコンソールにはローレット加工されたダイヤルやローラー、物理ボタンを配置。オーディオ音量だけでなく、エアコンの温度や風量なども物理操作できます。

顔認証によってドライバープロファイルを呼び出す機能やスマートフォンのデジタルキー、ヘッドアップディスプレイなど最新技術も搭載されますが、あくまでテクノロジーを前面に押し出すのではなく「ベントレーとしての高級感」を優先した設計です。

28スピーカーのNaimオーディオも用意

標準オーディオだけでも620W・16スピーカーという豪華な構成ですが、オプションとしてNaim製のシステムも選択できます。

こちらは1,780W、28スピーカーという本格的な構成で、Dolby Atmos 7.1にも対応。フロントシートのヘッドレストにもスピーカーが組み込まれ、シートそのものを振動させて音楽を身体で感じられる機能も採用されます。

シートは標準でも16ウェイ電動調整、ヒーター、ベンチレーション、マッサージ機能を備え、オプションでは姿勢や温度を継続的に調整するシステムも選択可能です。

さらに100%メリノウールを使用した内装素材など、ベントレーらしい素材へのこだわりも健在です。

Torcal Sはよりスポーティな仕立てに

高性能モデルのTorcal Sでは、単にモーター出力を高めるだけでなく、エクステリアにも専用装備が追加されます。

ウインドウ周辺やドアミラーをグロスブラックで仕上げ、専用バンパー、ディフューザー、サイドシル、ブラックのベントレーエンブレム、レッドブレーキキャリパーなどを装備。

インテリアにも専用キルティングやステッチ、スポーツペダル、ピアノブラックトリムなどが採用され、標準モデルよりも明確にスポーティなキャラクターが与えられています。

ベントレーはEVになってもベントレーなのか

トルカルで興味深いのは、最高出力888PSという数字以上に「EVらしさを前面に押し出しすぎていない」点かもしれません。

物理スイッチを残したインテリア、楽器から作り出した走行サウンド、メリノウールやウッドなどの素材、そして快適性を重視してあえて過剰な加速性能を求めなかったパワートレインなど、随所にベントレーらしい考え方が見えます。

一方で最大400kW充電や約600kmの航続距離、888PSを発揮するデュアルモーターなど、EVとしてのスペックは最先端です。

ベントレーにとってトルカルは単なる「初のEV」ではなく、これからのブランドデザインや高級車のあり方を示す重要なモデルになりそうです。

なお、現時点で正式な販売価格は発表されていません。Autoblogでは25万ドル前後からになる可能性を予想していますが、これはベントレー公式発表ではないため、今後の正式な価格発表が待たれます。

参考・出典:Autoblog / Bentley

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この記事を書いた人

メルセデス・ベンツ正規ディーラーを中心に、自動車業界で10年以上の経験を持つ筆者。販売現場で培った経験をもとに、高級車・新型車を中心とした自動車情報を独自の視点で発信しています。

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