ベントレーと聞けば、上質なレザーや美しいウッドパネル、そして職人による緻密な仕立てを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし今回、日本市場に投入される特別なベンテイガには、さらに一歩踏み込んだディテールが与えられました。
ベントレー モーターズ ジャパンは、「ベンテイガ アズール」とロングホイールベース仕様の「ベンテイガ EWB アズール」に、18Kゴールドプレーテッドの「オルガン ストップ」型エアベントコントロールを装備した日本限定モデルを発売しました。
用意されるのは、わずか13台です。
18Kゴールドが輝く「オルガンストップ」

今回の限定車で最大の特徴となるのが、ダッシュボードに配置された18Kゴールドプレーテッド「オルガン ストップ」型エアベントコントロールです。
「オルガンストップ」という名前だけでは、どの部分を指しているのか分かりにくいかもしれません。
これはベントレーのエアベントを操作するためのノブで、引いたり押したりすることで空調の風を調整する、非常にアナログな機構です。
しかし、単なる空調スイッチではありません。
その歴史は1920年代のヴィンテージ・ベントレーや、ル・マンで活躍した「ベントレー・ボーイズ」の時代にまでさかのぼり、約100年にわたって受け継がれてきたベントレーを象徴するインテリアディテールのひとつでもあります。
ノブを操作した際の重厚なメカニカルクリックも特徴で、タッチパネルによる操作が増え続ける現代の自動車とは対照的に、指先に伝わる感触そのものを大切にしています。
ただ金色にしただけではない

今回のモデルでは、この伝統的なオルガンストップに18Kゴールドの輝きが与えられました。
しかも装着されるのは1本や2本ではなく、1台につき計6本です。
ベントレーのビスポーク部門「マリナー」の熟練職人によって一点ずつ精緻に仕上げられるとされており、ゴールドという華やかな素材を使いながらも、ベントレーらしいクラフツマンシップが中心に据えられています。
近年の高級車では大型ディスプレイやアンビエントライトなど、デジタル技術によって高級感を演出する例が増えていますが、ベントレーが100年近く前から続く機械式のディテールに貴金属を組み合わせたところは興味深い部分です。
「新しいものを追加する」のではなく、「昔からあるものをさらに特別なものへ仕立てる」という考え方は、ベントレーならではと言えるでしょう。
ボディカラーは「ライト・ウィンザー・ブルー」

エクステリアには「ライト・ウィンザー・ブルー」が採用されています。
淡く落ち着いたブルーは、ゴールドを多用して派手さを前面に押し出すのではなく、英国車らしいクラシカルで上品な雰囲気を演出しており、キャビンに入った瞬間に目に入る18Kゴールドのオルガンストップとのコントラストも、この限定車ならではのポイントです。
気になる価格は3,400万円台から
今回の日本限定モデルで気になるのが、その価格です。
ベントレー正規ディーラーが公開している同仕様の車両情報によると、ベンテイガ アズール V8は3,462万1,910円、ベンテイガ EWB アズール V8は3,629万3,420円と案内されています。いずれも税込の車両本体価格で、メーカーオプションを含んだ価格です。
| モデル | 台数 | 車両本体価格 |
|---|---|---|
| ベンテイガ アズール V8 | 7台 | 3,462万1,910円 |
| ベンテイガ EWB アズール V8 | 6台 | 3,629万3,420円 |
| 合計 | 13台 | ― |
ベースとなるベンテイガ自体が高価格帯のラグジュアリーSUVですが、18Kゴールドプレーテッドのオルガンストップをはじめとする特別な仕様を備えながら、価格は3,400万〜3,600万円台となっています。
ただし、今回発表された13台すべてについて同一価格が公式発表されているわけではないため、実際の販売価格や車両ごとのオプション内容については、各ベントレー正規販売店で確認する必要があります。
販売は全国のベントレー正規販売店で順次展開されます。
「アズール」とは何が特別なのか

今回ベースになっている「アズール」は、単純に装備を豪華にしたグレードではなく、ベントレーが快適性やウェルビーイングを重視して設定しているシリーズです。
特にベンテイガ EWBは、通常のベンテイガよりもホイールベースを延長することで後席空間を拡大したモデルで、ドライバー自身が運転を楽しむだけではなく、後席で過ごす時間についても重視されています。
そこに18Kゴールドのオルガンストップを組み合わせることで、今回の日本限定モデルは、ベンテイガが持つラグジュアリーSUVとしての性格をさらに強調した仕様となりました。
100年前のディテールを残すことこそ、ベントレーの贅沢
今回の限定車で個人的に興味深く感じるのは、18Kゴールドそのものよりも、そのゴールドが使われた場所です。
巨大なディスプレイでも、最新の電子デバイスでもありません。
約100年前のベントレーにも通じる、小さなエアベントコントロールです。
自動車業界ではデジタル化が急速に進み、物理スイッチそのものを減らすメーカーも珍しくなくなりました。しかしベントレーは、指でノブを引き、機械的なクリックを感じながら操作するという体験を現在でも残しています。
そこへ18Kゴールドという素材を組み合わせた今回のベンテイガは、単なる「豪華装備」というより、ベントレーが長年守ってきたアナログな操作感や伝統そのものに価値を与えた一台と見ることもできそうです。
日本だけに用意された13台という希少性はもちろん魅力ですが、100年前のベントレーと現代のベンテイガを、小さなひとつのスイッチがつないでいる。
そこにこそ、この特別なベンテイガの面白さがあるのではないでしょうか。
参考・出典:Bentley Motors Japan




