大胆なブランド刷新によって、まったく新しい時代へ踏み出そうとしているジャガー。
その復活を担う最初のモデルが、新型電動グランドツアラー「Type 01」です。
斬新なデザインや電動パワートレインに注目が集まるType 01ですが、ジャガーにとってもうひとつ重要な課題があります。
それが「信頼性」です。
長い歴史の中でジャガー、そしてJLR(Jaguar Land Rover)は、品質や信頼性について厳しい評価を受けることもありました。
しかし新世代ジャガーでは、過去から得た教訓を活かし、Type 01の開発段階から品質と信頼性を徹底的に作り込もうとしています。
ジャガーに付きまとってきた「信頼性」という課題

ジャガーと聞いて、流麗なスタイリングや豪華なインテリア、独特の乗り味を思い浮かべる人は多いでしょう。
一方で、長年ジャガーに付きまとってきたイメージのひとつが「故障が多い」「信頼性に不安がある」というものです。
もちろん、すべてのジャガーが故障しやすいという意味ではありません。
モデルや世代によって品質は大きく異なりますし、近年は改善されてきた部分もあります。
それでも、高級車市場においてブランドイメージは非常に重要です。
特に新生ジャガーがこれまで以上に高価格帯へ移行し、ベントレーやポルシェなども意識するブランドになろうとしている以上、「デザインは素晴らしいが信頼性が心配」という評価を残すわけにはいきません。
Type 01はジャガー史上最大級の検証プログラムを実施

そこでジャガーがType 01の開発で力を入れているのが、徹底した耐久・信頼性テストです。
JLRによると、新世代ジャガーの開発では約150台ものプロトタイプが投入されています。
さらに実車だけではなく、先進的なバーチャル環境も組み合わせながら、数十万マイル規模に及ぶ検証が行われています。
テスト環境も非常に過酷です。
北極圏ではマイナス40℃にも達する環境でウインターテストを実施。
凍結した湖から高温の砂漠、高速道路まで、世界各地のさまざまな環境で車両を走らせています。
JLR自身がこれを「ジャガー史上最も厳格なグローバル検証プログラム」と表現していることからも、Type 01にかける意気込みが伝わってきます。
なぜここまでテストする必要があるのか

理由は単純です。
Type 01は「新しいジャガーの第一号車」だからです。
ジャガーは従来のXE、XF、F-TYPE、E-PACE、I-PACEなどを整理し、ブランドそのものを大幅に刷新しました。
つまりType 01は単なる新型車ではありません。
このクルマの評価が、今後のジャガーブランドそのものを左右すると言っても過言ではないでしょう。
しかも、新型車は新世代の電気自動車専用アーキテクチャを採用します。
新しいプラットフォーム、新しい電動システム、新しい電子制御、そして新しいインフォテインメント。
多くの技術を一度に刷新する以上、開発段階で徹底的に問題を洗い出す必要があります。
高級車だからこそ「小さな不具合」も許されない
ここで重要なのが、現代の高級車における「信頼性」の意味です。
エンジンやモーターが壊れなければいい、という時代ではありません。
大型ディスプレイやインフォテインメント、スマートフォン連携、ADAS、OTAアップデート、充電制御など、現代の自動車は巨大な電子機器とも言える存在になっています。
特にEVではソフトウェアの完成度が商品評価を大きく左右します。
走行不能になるような重大故障だけでなく、
・ディスプレイがフリーズする
・スマートフォンとの接続が不安定
・ADASにエラーが出る
・充電が正常に開始されない
・アプリとの通信に問題が発生する
といった小さなトラブルでも、1000万円を大きく超える高級車ではユーザーの不満につながります。
だからこそType 01では、従来以上に「完成度」が重要になるでしょう。
Type 01は新生ジャガーの運命を背負う一台
Type 01は、Type 00コンセプトによって示された新しいデザイン思想を市販車へ落とし込んだ4ドアの電動グランドツアラーです。
長いボンネット、低いルーフ、ワイドなボディなど、一般的なEVとは大きく異なるプロポーションが特徴です。
そしてジャガーは従来よりも大幅に高価格帯へポジションを移そうとしています。
つまり、BMWやメルセデス・ベンツ、アウディと正面から販売台数を競うのではなく、より少ない販売台数でも高い利益を生み出せるラグジュアリーブランドを目指しているわけです。
だからこそ品質は重要です。
価格が上がれば上がるほど、ユーザーが求める完成度も高くなります。
「美しいけれど壊れるジャガー」から脱却できるか
ジャガーには素晴らしい歴史があります。
E-TypeやXJ、XK、そしてF-TYPEなど、他メーカーにはない美しいクルマを数多く生み出してきました。
その一方で、信頼性に対するネガティブなイメージがブランド価値を損なってきた側面があることも否定できません。
新型Type 01で150台ものプロトタイプを用意し、世界中で過酷なテストを繰り返していることは、ジャガー自身も品質の重要性を強く認識していることの表れでしょう。
デザインだけを変えるのではなく、クルマそのものの完成度まで変える。
それが本当に実現できれば、今回のジャガー再生は単なる「ブランドイメージの変更」ではなく、本当の意味での再出発になるかもしれません。
MOTION & TIME のひとこと
個人的には、新しいジャガーにとってデザイン以上に重要なのが、この「信頼性」だと思います。
Type 00から続く大胆なデザインやブランド戦略については賛否があります。
しかし、それだけ注目されているということでもあります。
問題は、実際にユーザーへ納車された後です。
1000万円を大きく超えるラグジュアリーカーとして販売するのであれば、「ジャガーだから多少のトラブルは仕方ない」という時代はもう通用しません。
むしろType 01には、これまでジャガーに興味はあっても信頼性を理由に購入を避けていた人を振り向かせるほどの完成度が求められます。
150台ものプロトタイプを使った大規模な検証が、その成果として現れるのか。
新生ジャガーの本当の評価は、Type 01のデザインが公開された瞬間ではなく、ユーザーの手に渡って数年が経過した時に決まるのかもしれません。
参考・出典:CarBuzz / JLR

