トヨタGR GTとGR GT3がラグナ・セカを激走! V8ツインターボが奏でる“本気のサウンド”

TOYOTA GAZOO Racingが開発を進めている新たなフラッグシップスポーツカー「GR GT」。

そして、そのGR GTをベースとしてFIA GT3規定に合わせて開発されるレーシングカー「GR GT3」。

トヨタの今後を象徴する2台が、アメリカ・カリフォルニア州の名門サーキット「ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカ」に姿を現しました。

注目したいのは、その走りだけではありません。

2台がコースを駆け抜ける映像から聞こえてくるのは、現在ではますます貴重な存在になりつつあるV8エンジンのサウンドです。

電動化が進む現在の自動車業界において、トヨタはあえて4.0L V8ツインターボを新開発。

GR GTとGR GT3は、トヨタが本気で「走る楽しさ」を追求した新世代のフラッグシップになりそうです。

目次

GR GTとGR GT3がラグナ・セカを駆け抜ける

今回話題となったのは、ラグナ・セカを走行するGR GTとGR GT3の映像です。

市販モデルとなるGR GTが先行する場面がある一方、巨大なリアウイングを備えたGR GT3が前を走る場面も確認できます。

2台が同じコースを走る姿を見ると、GR GTとGR GT3の関係性が非常によく分かります。

一般的なスポーツカーでは、市販車を開発した後にレーシングカーへと発展させるケースも少なくありません。

しかしGR GTでは、市販車とGT3レーシングカーを並行して開発。

モータースポーツで得られる技術やノウハウを、市販車にも直接フィードバックすることが前提となっています。

つまりGR GTは、単にGT3マシンのイメージを取り入れたスポーツカーではありません。

レーシングカーと同じ思想から生まれた「公道を走るレーシングカー」と呼べる存在なのです。

そして何より素晴らしいのがV8サウンド

今回の映像で特に印象的なのが、GR GTとGR GT3が奏でるエンジンサウンドです。

近年のスーパースポーツではハイブリッド化やダウンサイジングが急速に進み、さらにEVへの移行も進んでいます。

そんな時代にトヨタがGR GTのために用意したのは、新開発の4.0L V型8気筒ツインターボエンジンです。

トヨタ自身もGR GTの開発においてサウンドを重要な要素としており、「クルマと対話できるサウンド」と「熱量変化を感じさせるサウンド」という2つの柱を掲げています。

単純に大きな排気音を出すのではなく、アクセル操作やエンジン負荷など、クルマの状態に合わせてドライバーが変化を感じ取れるサウンドを目指しているのです。

ラグナ・セカを走る姿を見る限り、その狙いは十分に伝わってきます。

ターボエンジンでありながら存在感のある低音と、回転上昇に合わせて変化していくV8らしい音色。

GR GTにとってエンジンサウンドそのものが、性能と同じくらい重要な商品価値になるのかもしれません。

GR GTは4.0L V8ツインターボ+ハイブリッド

GR GTのパワートレーンは、4.0L V8ツインターボエンジンに電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムです。

項目GR GT
エンジン4.0L V8ツインターボ
電動化ハイブリッド(1モーター)
システム最高出力650ps以上(開発目標値)
最大トルク850Nm以上(開発目標値)
トランスミッション8速オートマチック・トランスアクスル
駆動方式後輪駆動
重量配分前45:後55
ボディ骨格オールアルミニウム
サスペンション前後ダブルウィッシュボーン

大きな特徴となるのが、トランスミッションを車体後部に配置するリアトランスアクスル方式です。

エンジンをフロントに搭載しながら、トランスミッションや駆動用バッテリー、燃料タンクなどの重量物を最適配置することで、前45:後55という重量配分を実現しています。

さらにトヨタとして初めてオールアルミニウム骨格を採用。

ボディパネルにはアルミだけでなくCFRPも使用するなど、軽量化と高剛性化を徹底しています。

GR GT3はGR GTとともに開発されたレーシングカー

一方のGR GT3は、GR GTをベースにFIA GT3規定へ適合させたレーシングカーです。

こちらにもGR GTと骨格部品の多くを共用した4.0L V8ツインターボエンジンが搭載されます。

市販モデルのGR GTがハイブリッドシステムと8速トランスアクスルを採用するのに対し、GR GT3ではレース専用トランスミッションを採用。

巨大なリアウイングをはじめとした空力パーツも装備され、見た目からして完全なレーシングマシンとなっています。

項目GR GTGR GT3
用途公道用フラッグシップスポーツGT3レーシングカー
エンジン4.0L V8ツインターボ4.0L V8ツインターボ
ハイブリッドありレース規定に合わせた仕様
トランスミッション8速トランスアクスルレース専用トランスミッション
駆動方式後輪駆動後輪駆動
ボディオールアルミ骨格+CFRPなどGR GTと骨格部品を多数共用
空力公道走行を考慮した高性能仕様大型リアウイングなどGT3専用仕様

GR GT3は、2027年シーズン以降のレース参戦が予定されています。

今後、世界各国のGT3レースでポルシェ911 GT3 R、フェラーリ296 GT3、メルセデスAMG GT3などと戦う姿を見ることになるでしょう。

GR GTは「LFAの後継車」だけではない

GR GTについては、その立ち位置から「レクサスLFAの後継車」と表現されることがあります。

確かに、トヨタグループが送り出す新世代の最高峰スポーツカーという意味では共通点があります。

しかし、GR GTの開発思想を見ると、単純なLFAの後継車と考えるだけでは少し違うようにも感じます。

LFA最大の魅力のひとつだったのは、ヤマハと共同開発した4.8L自然吸気V10エンジンと、その官能的なサウンドでした。

対するGR GTは、GT3レーシングカーと並行開発され、空力、シャシー、重量配分、パワートレーンまでモータースポーツを強く意識しています。

つまりGR GTは「LFAの再来」を目指したクルマというよりも、TOYOTA GAZOO Racingがこれまで培ってきたモータースポーツ活動を凝縮した、新しいタイプのフラッグシップスポーツカーと考える方が自然でしょう。

トヨタはV8を諦めなかった

個人的にGR GTで最も興味深いのは、やはりこの時代にトヨタが新しいV8エンジンを開発したことです。

欧州メーカーを中心に排ガス規制への対応が進み、大排気量エンジンは急速に姿を消しています。

そんな中、トヨタはハイブリッド技術と組み合わせることで、4.0L V8ツインターボという選択肢を残しました。

しかも単なるノスタルジーではありません。

GT3レーシングカーと同時に開発し、実際のモータースポーツで戦うことを前提としたV8です。

ラグナ・セカを走るGR GTとGR GT3から聞こえてくるサウンドは、その決断が間違っていなかったことを感じさせてくれます。

GR GTはトヨタの新しい時代を象徴する一台になる

GRヤリス、GRカローラ、GRスープラなどを通じて、ここ数年のトヨタは「走る楽しさ」を強く打ち出してきました。

しかしGR GTは、それらとは明確に異なる存在です。

新開発V8ツインターボ、ハイブリッドシステム、リアトランスアクスル、オールアルミニウム骨格、そしてGT3レーシングカーとの並行開発。

ほぼすべてが、このクルマのために用意されています。

そして今回、世界屈指のテクニカルコースであるラグナ・セカをGR GTとGR GT3が並んで駆け抜けたことで、その開発思想がより分かりやすく見えてきました。

速さだけではなく、ドライバーがクルマを操る感覚、そしてV8エンジンが生み出すサウンドまで含めて楽しませる。

電動化時代だからこそ、こうしたクルマをトヨタが本気で作っていることには大きな意味があります。

GR GTが市販され、そしてGR GT3が世界のサーキットで戦い始めたとき、トヨタのスポーツカー史に新しい章が加わることになりそうです。

参考・出典:CarBuzz / TOYOTA GAZOO Racing / GAZOO Racing USA / IMSA

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この記事を書いた人

メルセデス・ベンツ正規ディーラーを中心に、自動車業界で10年以上の経験を持つ筆者。販売現場で培った経験をもとに、高級車・新型車を中心とした自動車情報を独自の視点で発信しています。

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