米国のCar and Driverによると、2027年モデルでは「Mercedes-Benz EQEセダン」と「Mercedes-AMG EQEセダン」がラインナップから姿を消すほか、「Mercedes-AMG S63 E PERFORMANCE」、さらに「Mercedes-Maybach EQS SUV」も販売ラインナップから外れることが明らかになりました。
一見すると単なるモデル整理にも見えますが、その背景を見ていくと、メルセデスがここ数年進めてきた電動化戦略そのものが大きな転換点を迎えていることが分かります。
そして日本市場では、さらに注目したい動きがあります。海外では改良型Cクラスが「C300」として紹介されていますが、日本では「C250」が登場する予定であり、さらに長らく通常のCクラスではAMGモデル以外では選択できなかった左ハンドル仕様もラインナップされる見込みです。
今回は、2027年に向けて変わり始めたメルセデス・ベンツのラインナップと、その背景について見ていきます。
EQEセダンが2027年モデルから消滅へ

今回もっとも大きなニュースのひとつが、EQEセダンの終了です。
Car and Driverによれば、メルセデス・ベンツの広報担当者が、Mercedes-Benz EQEセダンとMercedes-AMG EQEセダンが2027年モデルではラインナップされないことを認めたとされています。
EQEは、Eクラスに近いポジションを担う電気自動車として投入されましたが、内燃機関モデルのEクラスをそのままEV化するのではなく、EQSなどと共通する独立した「EQ」デザインを採用していました。
しかし、現在のメルセデスはこの戦略から明確に方向転換しつつあります。
今後は「EQ」という独立したデザインのEVを増やすのではなく、CクラスやGLCといった既存の主力モデルの世界観を維持しながら、その中に電気自動車を組み込んでいく方向へ移行しています。
つまりEQEの終了は、単に1車種の販売を終えるというよりも、「EQ専用車」というこれまでの電動化戦略がひとつの区切りを迎えたことを象徴する出来事といえそうです。
Mercedes-Maybach EQS SUVもラインナップから姿を消す
さらに、メルセデス・マイバッハの最高級EVである「Mercedes-Maybach EQS SUV」も2027年モデルではラインナップから外れます。
EQS SUVをベースに、マイバッハらしい豪華な内外装を組み合わせたモデルでしたが、今後のメルセデスはEVについても既存モデルとのデザイン上の共通性を強めていくと考えられます。
なお、通常のMercedes-Benz EQSセダンおよびEQS SUVについては、現時点ではラインナップに残るとされています。
ただし、CクラスやGLCで始まった新しいEV戦略を考えると、将来的にはEQSについても現在とは異なる形へ再編される可能性があります。
AMG S63 E PERFORMANCEも2027年モデルから消える
そしてもうひとつ驚かされるのが、「Mercedes-AMG S63 E PERFORMANCE」が2027年モデルからラインナップを外れることです。
現行S63 E PERFORMANCEは、4.0リッターV8ツインターボエンジンに電動モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドを採用しており、システム最高出力は802PSに達します。
Sクラスの圧倒的な快適性とAMGのパフォーマンス、さらに電動化技術を融合したモデルでしたが、少なくとも2027年モデルでは一旦姿を消すことになります。
ただし、これが「S63」というモデルそのものの終了を意味するとは限りません。
Car and Driverは、将来的にS63が復活する可能性を指摘しており、その際には現在のプラグインハイブリッドではなく、V8エンジンを中心としたパワートレインへ戻る可能性についても言及しています。
現時点ではメルセデスから正式発表された内容ではありませんが、近年のAMGを巡っては電動化と大排気量エンジンのバランスが改めて注目されているだけに、今後の動向は非常に気になるところです。
改良型Cクラス登場。しかしC43とC63の姿はなし
一方、通常のCクラスについては大幅改良モデルがすでに発表されています。
米国市場では「C300」として紹介されており、2.0リッター直列4気筒ターボエンジンと48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせ、エンジン最高出力は255hp(約259PS)を発生します。
エクステリアではフロントデザインが大きく変更され、イルミネーテッドグリルやスリーポインテッドスターをモチーフとした新しいライトシグネチャーを採用。さらにインテリアでは最新世代のMBUXやAIを活用したバーチャルアシスタントなどが導入され、単なるフェイスリフト以上の大幅なアップデートとなっています。
ところが、今回発表されたラインナップには「Mercedes-AMG C43」と「Mercedes-AMG C63 S E PERFORMANCE」が含まれていません。
Car and Driverもこの点に注目しており、今後改めて発表される可能性を残しながらも、現時点では両モデルの2027年モデルにおける扱いは不透明な状況です。
日本では「C300」ではなくC250が登場予定
ここで、日本市場についてMOTION & TIMEが得ている情報を付け加えておきたいと思います。
海外では改良型Cクラスが「C300」として発表されていますが、日本市場では「C250」が導入される予定です。
さらに注目したいのが、C250に「左ハンドル仕様」が設定される予定であることです。
これは現時点でメルセデス・ベンツ日本から正式発表されている情報ではありませんが、MOTION & TIMEが得たメルセデス・ベンツ正規ディーラー内の情報では、C250の左ハンドル仕様が登場することが確認されています。
そのため正式な価格や装備、導入時期などについては今後の発表を待つ必要がありますが、日本仕様の改良型Cクラスを考えるうえでは非常に興味深いポイントです。
長らく不在だった「通常のCクラス×左ハンドル」が復活へ
特に注目したいのは、単にC250というグレードが追加されること以上に、左ハンドル仕様が選択できるようになる点です。
日本ではメルセデスAMGなど一部モデルで左ハンドル仕様が設定されるケースはあるものの、通常のCクラスでは右ハンドルが中心となっており、左ハンドルのCクラスは長らく身近な選択肢ではありませんでした。
過去を振り返ると、メルセデス・ベンツ日本は2015年に「C200 Sports Edition(左ハンドル仕様)」を限定導入したことがあります。しかし、現在の通常ラインナップでは左ハンドルのCクラスを選ぶことが難しい状況が続いてきました。
それだけに、今回C250の左ハンドルが正式に日本へ導入されれば、メルセデスらしい左ハンドル車を求めていたユーザーにとって久々の選択肢となります。
特にCクラスは日本の道路環境でも扱いやすいボディサイズを持つため、「左ハンドルのメルセデスに乗りたいものの、Sクラスや大型モデルまでは必要ない」という層にとっても魅力的なモデルになりそうです。
2027年はメルセデスにとって「整理と再構築」の年になる
今回明らかになった一連の動きを見ると、2027年のメルセデス・ベンツは単純にモデル数を減らしているわけではなく、これまで拡大してきたラインナップを整理しながら、次の世代へ向けた再構築を進めているように見えます。
特に象徴的なのがEQEの終了で、独立した「EQ」という世界観を強く押し出していたEV戦略から、CクラスやGLCといった既存のブランド資産を生かした電動化へ軸足を移していることは明らかです。
一方で、AMG S63の一時的な離脱やC43、C63の不在など、AMGについてはまだ見えていない部分も少なくありません。
そして日本市場では、改良型CクラスにC250が投入されるだけでなく、左ハンドル仕様まで設定される予定となっています。
電動化一辺倒に見えた数年前のメルセデスから状況は大きく変わりつつあり、2027年は同社にとって「何を残し、何を変えるのか」がより明確になる一年になるのかもしれません。
参考・出典:Car and Driver / Mercedes-Benz USA / Mercedes-Benz Japan




