ルノーが、1960年代を代表するスポーツモデル「Renault 8 Gordini(ルノー 8 ゴルディーニ)」を現代に蘇らせました。
ただし、単なるレトロデザインの復刻ではありません。
新たに発表された「Renault 8 Gordini Concept」は、2シーターのコンパクトクーペへと大胆に生まれ変わり、パワートレインには最高出力270PSの電気モーターを採用。それでも、オリジナルの大きな特徴だった後輪駆動はしっかりと受け継がれています。
300以上のデザイン案から生まれた新しいゴルディーニ

今回の8 ゴルディーニ コンセプトは、外部デザイナーとのコラボレーションではなく、ルノー社内で生み出されたモデルです。
開発では社内デザインコンペティションが行われ、集まったスケッチは300案以上。その中から2つの案を2/5スケールのモデルまで発展させ、最終的に双方の優れたアイデアを融合して現在のデザインが完成しました。
オリジナルのルノー 8をそのまま現代風に描き直したわけではなく、低くワイドなボディと大きく張り出したフェンダーによって、現代のラリーカーを思わせるスタイルに仕上げられています。
270PSのEV、それでも後輪駆動
最大の変化は、もちろんパワートレインです。
1964年に登場したオリジナルのルノー 8 ゴルディーニは、リアにエンジンを搭載し、後輪を駆動するRRレイアウトを採用していました。
新しいコンセプトでは内燃エンジンに代わって電気モーターを搭載し、最高出力は270PS。それでも駆動方式は後輪駆動とされ、ゴルディーニらしい基本思想を現代のEV技術で再現しています。
Renault 8 Gordini Concept スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 全長 | 4,120mm |
| 全幅 | 1,880mm |
| 全高 | 1,270mm |
| ボディ | 2ドア・2シータークーペ |
| パワートレイン | 電気モーター |
| 最高出力 | 270PS |
| 駆動方式 | 後輪駆動 |
| フロントホイール | 19インチ |
| リアホイール | 20インチ |
| 市販予定 | なし |
前後でホイールサイズが異なり、フロント19インチ、リア20インチという組み合わせも特徴的です。
リアホイールを大きくすることで後方へ力が流れていくような視覚効果を生み出し、後輪駆動車らしいプロポーションを強調しています。
青いボディと2本の白いストライプ
ゴルディーニといえば、やはりブルーのボディに入った2本のホワイトストライプでしょう。
新しいコンセプトでもこの組み合わせは健在で、ボディカラーはフランスを象徴する「Bleu de France」から着想を得ています。
ただし、過去のデザインを単純にコピーしたわけではありません。
ボディ側面の特徴的なラインは空気をベントへ導く機能を持たせ、スクエア形状のホイールアーチも現代的なワイドフェンダーとして再解釈されています。
さらにフロントには6つの丸型ライトを配置。かつてのラリー仕様に装着されていた補助灯を思わせるデザインで、ひと目で普通のEVとは違う存在感を放っています。
「カフェレーサー」をクルマに落とし込んだデザイン
ルノーが今回のデザインで取り入れた考え方のひとつが、カスタムバイクの世界で知られる「カフェレーサー」です。
余計な装飾を削ぎ落とし、素材や機械そのものの美しさを引き出す考え方で、ボディのパネルラインも極力減らされています。
例えばフロントには一般的なボンネットの分割線がなく、レーシングカーのようにボンネット部分を一体で取り外せる構造を採用しています。
レトロなクルマをそのまま復刻するのではなく、その時代の精神だけを残して現代の技術とデザインで再構築する。今回の8 ゴルディーニを象徴する部分と言えそうです。
インテリアも1960年代と現代を融合

室内も非常にユニークです。
ダッシュボードにはブラッシュドアルミニウムを大きく使用し、その上に複数の丸型デジタルディスプレイを配置。昔ながらのアナログメーターを思わせながら、表示そのものは現代的なデジタル方式になっています。
シート中央にはブルーのコーデュロイを使用し、アルカンターラやアルミニウムと組み合わせることで、クラシックカーらしい雰囲気と現代的な質感を両立しました。
そしてダッシュボード中央には、ひときわ目を引く赤いストップウォッチボタンも用意されています。
装備を増やすのではなく、運転に必要なものへ集中するという思想がインテリアにも表れています。
残念ながら市販予定はなし
これほど魅力的な仕上がりですが、現時点で市販予定はありません。
ルノー自身も8 ゴルディーニ コンセプトについて、量産を前提としたモデルではなく、ブランドの歴史を現代的に再解釈するためのデザインスタディであることを明らかにしています。
実車は2026年9月24日にRenault Carwalkで公開され、その後10月12日から18日に開催されるパリ・モーターショーにも展示される予定です。
近年のルノーは5や4といった歴史的モデルを現代に蘇らせていますが、8 ゴルディーニ コンセプトはさらに趣味性を強くした一台です。
EVになっても後輪駆動を守り、270PSという十分なパワーを与えながら、ブルーのボディや白いダブルストライプといった象徴的な要素を残す。
市販されないのが惜しく感じられるほど、ゴルディーニの名前を現代に蘇らせる方法として興味深いコンセプトではないでしょうか。
参考・出典:Motor1 / Renault


