韓国の高級車ブランド「Genesis(ジェネシス)」が、新たな高性能ブランド「Magma(マグマ)」の象徴として開発を進める「Magma GT Concept」。
これまでショー会場でその美しいスタイリングやインテリアが披露されてきましたが、ついにMagma GTが実際の道路を走る姿が捉えられました。
しかも今回走行したのは、単なるデモンストレーション用の低速コースではありません。
イタリア・モッタローネで開催された「Tutto Bene Hillclimb」に登場し、濡れた路面のヒルクライムコースを駆け上がりました。
そして何より注目したいのが、そのサウンドです。
Magma GTはミッドシップにV8エンジンを搭載するとされており、今回の映像でもEVでは決して味わえない、低く力強いV8サウンドを響かせています。
雨のヒルクライムに現れたMagma GT
今回Magma GTが姿を見せたのは、イタリアで開催されたTutto Bene Hillclimbです。
当日は観客が傘を差すほど路面が濡れており、コンディションは決して理想的とはいえませんでした。
当然ながら、貴重なコンセプトカーで限界走行を行ったわけではありません。
しかしスタート直後にはわずかにホイールスピンを見せ、その後はV8らしい力強いエキゾーストノートを響かせながらコースを駆け上がっていきます。
これまで静止した状態で見ることの多かったMagma GTですが、実際に走っている姿を見ると、低くワイドなプロポーションがより一層際立ちます。
単なるモーターショー用のデザインスタディではなく、「本当に走れるスーパーカー」として開発されていることを強く印象付ける映像です。
最大800馬力のツインターボV8を搭載
GenesisはMagma GT Conceptについて、ツインターボV8エンジンを搭載し、最高出力は最大800馬力に達すると説明しています。
現時点で市販モデルの詳細なスペックは発表されていませんが、判明している情報をまとめると以下のようになります。
| 項目 | Genesis Magma GT Concept |
|---|---|
| 車名 | Genesis Magma GT Concept |
| ボディタイプ | 2ドア・スーパーカー/グランドツアラー |
| エンジン搭載位置 | ミッドリア |
| エンジン | ツインターボV8 |
| 最高出力 | 最大800hp |
| 駆動方式 | 未公表 |
| トランスミッション | 未公表 |
| レイアウト | ミッドシップ |
| 市販化 | 検討・開発中 |
| モータースポーツ | GT3カテゴリーへの展開を想定 |
800馬力という数字だけを見れば、Magma GTはもはや一般的な高性能GTではありません。
フェラーリやマクラーレン、ランボルギーニなどが存在する、本格的なスーパーカーの領域へ踏み込むことになります。
「ジェネシス初の本格スーパーカー」になる可能性
Magma GTが重要なのは、単純に速いクルマだからではありません。
Genesis自身が、このモデルをブランド初の「pure sports car typology」と位置付けています。
つまりMagma GTは、既存モデルをベースに高性能化した派生車ではなく、Genesisが本格的なスポーツカー/スーパーカーの世界へ参入するためのモデルなのです。
デザインもその目的に合わせて作られています。
低く構えたフロントノーズ、大きく張り出したリアフェンダー、後方へ向かって絞り込まれるボートテール形状のキャビンなど、従来のGenesisとは明らかに異なるプロポーションを採用しています。
一方で、Genesisらしい「Two Lines」のライトグラフィックやG-Matrixパターンなどもしっかり残されています。
単に欧州スーパーカーを模倣するのではなく、「Genesisのスーパーカー」として成立させようとしている点は非常に興味深いところです。
大型ディスプレイに頼らないインテリアも魅力
Magma GTで個人的に注目したいのがインテリアです。
現在の高級車では大型ディスプレイを複数配置するデザインが一般的になっていますが、Magma GTはむしろ逆方向へ進んでいます。
ドライバー正面にはモータースポーツの計器を思わせるアナログメーターを配置し、センター部分にも物理的な操作系を積極的に採用しています。
Genesisはドライバーとの一体感や操作時の感触を重視しており、「画面の大きさ」で先進性を表現するクルマではありません。
高級感のあるレザーをふんだんに使いながら、運転に集中できるコックピットを作り上げています。
スーパーカーでありながら、単なる速さではなくグランドツアラーとしてのラグジュアリー性も両立しようとしていることが分かります。
本命は「GT3」なのかもしれない
そしてMagma GTには、もう一つ非常に重要な役割があります。
GT3レーシングカーのベースモデルになる可能性です。
Genesisはすでに「Magma GT3 Concept」を公開しており、GT3規定を意識したワイドトレッド、大型フロントスプリッター、拡大されたエアダクト、固定式リアウイング、大型ディフューザーなどを採用しています。
つまりMagma GTは、高性能なロードカーを作って終わりではありません。
Genesisが本格的にモータースポーツへ進出するための土台になる可能性があります。
ロードカーとGT3レーシングカーを結び付けることができれば、ポルシェ911 GT3やフェラーリ296 GTB/296 GT3などと同じように、「レースで培ったブランドイメージを市販車へ還元する」というストーリーも作れるようになります。
市販化はどうなる?
ここで気になるのが、本当に市販されるのかという点です。
現時点でGenesisはMagma GT Conceptを正式な市販車として発表しているわけではありません。
一方、単なるショーカーとして片付けるには開発がかなり進んでいます。
実走可能な車両が製作され、今回のように公道系のヒルクライムイベントを走行。さらにGT3仕様まで公開されています。
GenesisはMagma GTを今後のパフォーマンス戦略を象徴する「ハローカー」と位置付けており、ブランドとして市販化への意欲を強く示しています。
ただし最大の問題は採算性です。
高性能な専用ミッドシッププラットフォームやV8エンジンを用意して少量生産するとなれば、開発コストは莫大です。
デザインやエンジニアリングだけではなく、「ビジネスとして成立するか」が最終的な市販化を左右することになりそうです。
もし市販されたら、ライバルはポルシェやフェラーリ?
Magma GTが最大800馬力級のV8ミッドシップスーパーカーとして市販されれば、Genesisにとって過去最大級の挑戦となります。
これまでGenesisはG80やG90、GV70、GV80などを通じて、メルセデス・ベンツ、BMW、レクサスといったプレミアムブランドへ挑戦してきました。
しかしスーパーカーとなれば話は別です。
性能だけではなく、ブランドの歴史やモータースポーツでの実績、そして所有すること自体への憧れまで求められる世界だからです。
だからこそGT3への参戦構想が重要になってきます。
レースで結果を残すことができれば、Genesisに不足している「高性能ブランドとしての歴史」を短期間で作り上げられる可能性があります。
まとめ
Genesis Magma GT Conceptが、ついにヒルクライムでその走りとV8サウンドを披露しました。
濡れた路面ということもあり限界走行ではありませんでしたが、今回の映像で重要なのは速さそのものではありません。
「このクルマが本当に走っている」という事実です。
最大800馬力級のツインターボV8、ミッドシップレイアウト、GT3レーシングカーへの展開、そしてGenesisらしいラグジュアリーなデザイン。
これらが市販モデルでも実現すれば、Magma GTは単なるGenesisの高性能モデルではなく、ブランドそのものの立ち位置を変える一台になる可能性があります。
これまでドイツやイタリア、イギリス勢が中心だったスーパーカー市場に、韓国のGenesisが本格参入する。
数年前なら想像しにくかった話ですが、今回ヒルクライムを駆け上がるMagma GTを見ると、その未来がかなり現実味を帯びてきたように感じます。
参考・出典:Car and Driver / Genesis

