メルセデス・ベンツが開発を進める新型Eクラスの電気自動車(EV)が、ドイツのニュルブルクリンクで再び目撃されました。
今回撮影されたプロトタイプは、従来のEQEとは大きく異なる、正統派セダンらしいスタイリングを採用していることが特徴です。メルセデス・ベンツはEV専用モデルのデザイン戦略を見直しており、新型EクラスEVはその転換を象徴する一台になると考えられます。
さらに、通常モデルでは最高出力489PS級のパワートレインが予想される一方、Mercedes-AMGによる高性能仕様についても開発が進められており、最大900馬力級という情報も浮上しています。
今回は、新たなスクープ写真から見えてきたデザインや技術、発売時期に加え、次世代AMG E 63との関係についても詳しく解説します。
EQEの後継として登場する新型EクラスEV

メルセデス・ベンツはこれまで、Eクラスと同等の車格を持つ電気自動車としてEQEを展開してきました。
しかし、EQEは空力性能を重視した丸みの強いデザインが特徴で、従来のEクラスが持つ堂々とした存在感や高級セダンらしいプロポーションとは異なる方向性を採用していました。
こうしたデザインは空気抵抗の低減に貢献する一方、従来のメルセデス・ベンツを好む顧客にとっては、必ずしも魅力的に映らなかった可能性があります。
実際にEQEは米国市場で販売面の苦戦が伝えられており、メルセデス・ベンツはEVを独立したEQシリーズとして展開する従来の戦略から、既存モデルの名称やデザインとの一体感を重視する方向へ移行しています。
新型EクラスEVもこの方針に沿ったモデルであり、EQEの市場における役割を引き継ぎながら、より伝統的なEクラスの魅力を取り入れることになりそうです。
新型EクラスEVは伝統的なセダンデザインへ回帰

今回ニュルブルクリンクで撮影された開発車両では、カモフラージュ越しながら、新型EクラスEVの基本的なプロポーションが確認できます。
フロント部分は従来のEQEよりも直立した印象を持ち、ボンネットからキャビン、トランクへと続くラインも、一般的な3ボックスセダンに近い構成となっています。
特に注目したいのは、後方に独立したトランクを持つシルエットです。EQEではルーフからリアエンドまでが滑らかにつながるデザインを採用していましたが、新型EクラスEVでは、より明確なセダンらしい形状が与えられています。
また、フロントには新型CクラスEVやGLC EVと共通する大型グリル風のデザインが採用されると予想されており、ヘッドライトにはメルセデスのスリーポインテッドスターをモチーフにした発光パターンも確認されています。
一方、リアコンビネーションランプは横方向に伸びる水平基調のデザインとなっており、CクラスEVとは異なる独自の表情が与えられる見込みです。
EVでありながら、ひと目でEクラスと分かるデザインを目指していることが、今回の開発車両からも感じられます。
新世代プラットフォームMB.EAを採用 最大489PSの可能性

新型EクラスEVには、メルセデス・ベンツが開発する次世代EV向けアーキテクチャ「MB.EA」が採用されるとみられています。
このプラットフォームは、新型CクラスEVやGLC EVにも使用されるもので、800Vの高電圧システムや高効率な電動パワートレインへの対応が特徴です。
現時点で新型EクラスEVの正式なスペックは公表されていませんが、海外ではCクラスEVと共通する駆動システムの採用が予想されています。
| 項目 | 新型EクラスEVの予想仕様 |
|---|---|
| プラットフォーム | MB.EA |
| 駆動方式 | 後輪駆動/4MATIC(予想) |
| 最高出力 | 最大489PS級(予想) |
| 電気システム | 800V |
| 最大急速充電出力 | 約330kW(予想) |
| バッテリー容量 | 未発表 |
| 航続距離 | 未発表 |
| 発売時期 | 2027年予想 |
特に489PSという数値は、新型CクラスEVの高出力仕様に相当するものであり、EクラスEVにも同様のデュアルモーターシステムが展開される可能性があります。
また、最大330kW級の急速充電性能が実現すれば、従来のEQEから充電性能が大きく進化することになります。
ただし、EクラスEVはCクラスEVよりも車体が大きくなると考えられるため、バッテリー容量や車両重量、航続距離については独自の設定が与えられる可能性もあります。
航続距離1,000kmの可能性も 実現すれば大きな進化に
新型EクラスEVについては、WLTPモードで最大1,000kmに達する航続距離を実現する可能性も報じられています。
仮に実現すれば、長距離移動を重視するEクラスの性格に非常によく合った性能となります。
Eクラスは従来から高速道路での快適性や長距離走行性能を重視してきたモデルだけに、EV化によって静粛性をさらに高めながら、充電回数を抑えた移動が可能になれば、内燃機関モデルとは異なる魅力を持つことになるでしょう。
一方で、航続距離はバッテリー容量だけでなく、車両重量や空力性能、タイヤサイズなどにも左右されます。そのため、実際にどの仕様でどれほどの距離を走行できるのかは、正式発表を待つ必要があります。
AMG仕様も開発中 最大900馬力級の高性能EVへ
今回の新型EクラスEVと密接に関係しているのが、Mercedes-AMGによって開発が進められている高性能電動セダンです。
すでに海外では、ワイドなフェンダーや専用ホイール、スポーティーなエアロパーツを備えたAMG仕様とみられる開発車両も確認されています。
このモデルについては、通常のEクラスEVが採用するMB.EAとは異なり、Mercedes-AMGの高性能EV専用アーキテクチャ「AMG.EA」が使用される可能性が指摘されています。
さらに、最高出力は800〜900馬力級に達するとの予測もあり、実現すれば従来のE 63を大幅に上回る動力性能を持つことになります。
ただし、正式な車名や最高出力、採用プラットフォームの詳細はまだ発表されていません。
以前MOTION & TIMEでは、この次世代AMGモデルとV8エンジン復活の可能性について詳しく取り上げています。

V8搭載E 63と電動AMGは共存するのか
新型EクラスEVの登場によって、改めて注目されるのがMercedes-AMG E 63の今後です。
Mercedes-AMGは高性能EVの開発を進める一方で、新世代V8エンジンの展開にも積極的な姿勢を示しています。
このことから、将来的には内燃機関を搭載するEクラスの高性能モデルと、完全電動のAMGモデルが並行して販売される可能性も考えられます。
例えば、従来のE 63が持つV8エンジンのサウンドやフィーリングを重視するモデルと、電動モーターによる圧倒的な加速性能を追求するモデルが、それぞれ異なる顧客層に向けて用意されるという展開です。
もっとも、V8搭載E 63の復活が正式に決定したわけではなく、電動AMGがE 63という名称を使用するかどうかも不明です。
それでも、メルセデス・ベンツがEVと内燃機関モデルを同じ車種ファミリーの中で展開する方向へ移行していることを考えると、Eクラスでも複数のパワートレインを選択できる構成が維持される可能性は十分にあるでしょう。
新型EクラスEVは2027年登場か 日本発売にも期待
新型EクラスEVは、2027年中の市場投入が予想されています。
欧米市場では2028年モデルとして展開される可能性も報じられており、開発車両の完成度が高まりつつあることから、正式発表に向けた準備は着実に進んでいると考えられます。
日本市場への導入時期については、現段階で公式な発表はありません。
ただし、Eクラスは日本でも長年販売されてきたメルセデス・ベンツの主力モデルであり、従来のEQEも国内導入されていたことから、新型EクラスEVについても日本発売を期待したいところです。
欧州で2027年に販売が始まる場合、日本市場では2027年後半から2028年にかけての展開も考えられますが、現時点ではあくまで予測となります。
筆者の考察|EクラスEVはメルセデスのEV戦略を変える重要な一台
今回の新型EクラスEVで最も興味深いのは、単にEQEの後継モデルが登場するということではなく、メルセデス・ベンツがEVに対する考え方そのものを変えつつある点です。
従来のEQシリーズでは、電気自動車であることをデザインでも強く表現していました。しかし、新型EクラスEVでは、むしろEクラス本来の魅力を維持しながら電動化する方向へと変化しています。
これは、顧客が求めているものが必ずしも未来的なデザインではなく、メルセデス・ベンツらしい高級感や存在感、そして快適性であることを改めて重視した結果とも考えられます。
さらに、通常のEクラスEVとは別に900馬力級のAMG仕様が開発されているとすれば、電動化によってEクラスのラインアップがこれまで以上に幅広くなる可能性もあります。
一方で、V8エンジンを搭載したE 63が復活するのか、それとも高性能EVがその役割を引き継ぐのかという点は、依然として大きな注目ポイントです。
新型EクラスEVは、単なる新しい電気自動車ではなく、メルセデス・ベンツが伝統と電動化をどのように両立させていくのかを示す、重要なモデルになるのではないでしょうか。
参考・出典:CarBuzz / Carscoops / Autoblog / SEMA / Road & Track




