BMW、中国市場で販売25%減の衝撃 欧米では好調も世界販売が減少、次世代モデルが反撃の鍵に

ドイツの高級自動車メーカーBMWが発表した2026年第3四半期(7〜9月)の世界販売実績は、地域によって明暗が大きく分かれる結果となりました。

欧州や米国では堅調な販売を維持した一方、かつてBMWの成長を支えてきた中国市場では販売台数が前年同期比で約25%減少し、グループ全体の販売実績を押し下げています。

世界的な高級車ブランドとして確固たる地位を築いてきたBMWですが、中国メーカーの急速な成長や市場環境の変化によって、従来の販売戦略が転換点を迎えていることが浮き彫りになりました。

目次

BMWグループの世界販売は6.3%減、中国市場の落ち込みが影響

BMWグループが発表した2026年第3四半期の世界販売台数は55万1,072台となり、前年同期から6.3%減少しました。

2026年1〜9月の累計販売台数も170万7,799台と前年同期比4.9%減となっており、年間を通じても厳しい状況が続いています。

2026年第3四半期 BMWグループ販売実績

ブランド・部門販売台数前年同期比
BMWグループ全体(四輪車)551,072台-6.3%
BMWブランド479,291台-6.8%
BMW M48,915台-6.3%
MINI70,712台-2.4%
ロールス・ロイス1,069台-18.0%
電気自動車(BEV)110,257台+7.2%

※BMW MはBMWブランドの内数、BEVはグループ全体の電気自動車販売台数です。

注目したいのは、BMWブランドだけでなく、高性能モデルを展開するBMW Mや超高級ブランドのロールス・ロイスも前年割れとなっている点です。

ただし、すべての分野で需要が減少しているわけではありません。完全電気自動車の販売は前年同期比7.2%増加しており、BMWの電動化戦略には一定の成果が表れています。

中国市場では約25%減少、BMWの成長を支えた巨大市場に異変

今回の販売実績で最も大きな問題となったのが、中国市場の急激な落ち込みです。

2026年第3四半期の中国におけるBMWとMINIの販売台数は11万4,355台となり、前年同期比24.8%減少しました。

主要地域別の販売実績

地域販売台数前年同期比
欧州235,628台+2.7%
ドイツ74,697台+2.1%
米国106,741台+2.5%
中国114,355台-24.8%
その他の地域70,830台-10.8%

※ドイツは欧州に含まれます。米国の数値はBMWとMINIの合計です。

中国は長年にわたり、BMWやメルセデス・ベンツ、アウディといったドイツの高級車メーカーにとって重要な販売市場でした。

しかし、近年はBYDやジーリーをはじめとする中国メーカーが技術力と商品競争力を急速に高めており、特に電気自動車や先進的なデジタル機能を重視する顧客層で存在感を強めています。

さらに、中国市場では価格競争が激化しているため、従来のブランド価値だけで高価格帯の商品を販売することが難しくなりつつあります。

BMWの販売減少は単なる一時的な需要低迷ではなく、中国の高級車市場そのものが構造的な変化を迎えている可能性を示しています。

米国ではBMWが好調、SUVを中心に販売を拡大

中国市場とは対照的に、BMWは米国で好調な販売を続けています。

BMWブランド単独の2026年第3四半期の米国販売台数は10万210台となり、前年同期比3.4%増加しました。1〜9月の累計でも28万7,154台を販売し、前年同期比4.3%増となっています。

特にSUVの「X」シリーズが販売を支えており、米国市場におけるBMWの競争力を維持する重要な存在となっています。

米国では高級SUVの需要が根強く、BMW X3やX5などの幅広いラインアップが、顧客の多様なニーズに対応しています。

また、BMWは米国サウスカロライナ州に大規模な生産拠点を持っており、現地生産体制を確立していることも強みの一つです。

中国で販売が大きく落ち込む一方、米国では成長を維持しているという事実は、同じ高級車ブランドであっても市場ごとに求められる商品や競争環境が大きく異なることを物語っています。

電気自動車は成長、新型iX3がBMWの反撃を担う

販売全体が減少する中で、BMWにとって明るい材料となっているのが電気自動車の成長です。

2026年第3四半期の完全電気自動車販売台数は11万257台となり、前年同期比7.2%増加しました。

特に欧州では電気自動車の販売が好調で、同期間の販売台数は8万1,941台、前年同期比37.5%増という大幅な成長を記録しています。

欧州におけるBMWグループの販売車両のうち、約34.7%が完全電気自動車となっており、電動化が着実に進んでいることが分かります。

その中心的な存在として期待されているのが、新世代EVプラットフォーム「ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)」を採用した新型BMW iX3です。

BMWは新型iX3に続き、新世代の3シリーズやX5などの商品展開を進めており、電動化技術だけでなく、車両全体のデジタル技術や効率性を高めることで競争力の回復を目指しています。

特に中国では、現地市場向けの新型iX3の展開が2026年11月から始まる予定であり、販売減少に歯止めをかけることができるのか注目されます。

BMWだけではない、ドイツ高級車メーカーが直面する中国市場の変化

中国市場で苦戦しているのはBMWだけではありません。

メルセデス・ベンツやポルシェ、フォルクスワーゲンなども中国での販売環境が厳しくなっており、ドイツメーカー全体が大きな転換期を迎えています。

これまでドイツの高級車ブランドは、高い走行性能や品質、ブランドの歴史を武器に中国市場で強い支持を集めてきました。

しかし、中国メーカーは電動化技術に加え、大型ディスプレイや高度な車載ソフトウェア、先進運転支援機能などを積極的に導入しており、商品価値の評価基準そのものが変わり始めています。

従来のようにブランドの知名度やエンジン性能だけで優位性を維持することは難しくなっており、今後はソフトウェア開発力や商品投入のスピード、現地市場への適応力が一層重要になると考えられます。

BMWは再び成長軌道に戻れるのか

2026年第3四半期の販売実績は、BMWが世界市場で依然として高い競争力を持ちながらも、中国市場への対応という大きな課題を抱えていることを示しました。

欧州や米国では販売を伸ばしているため、BMWブランドそのものの魅力が世界的に低下しているとは言い切れません。一方で、中国市場の落ち込みがグループ全体の成長を打ち消している現状を考えると、地域ごとの販売戦略を見直す必要性は高まっています。

今後の焦点となるのは、ノイエ・クラッセを採用した新世代モデルが、中国メーカーとの競争でどこまで存在感を発揮できるかという点です。

BMWが培ってきた走行性能やブランド価値に、電動化技術とデジタル分野の競争力を組み合わせることができれば、再び成長軌道に戻る可能性は十分にあります。

中国市場での苦戦が一時的なものに終わるのか、それとも世界の高級車市場における勢力図の変化を象徴する出来事となるのか。BMWの次世代モデルが、その答えを示すことになりそうです。

参考・出典:CarBuzz / BMW Group / Reuters

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この記事を書いた人

メルセデス・ベンツ正規ディーラーを中心に、自動車業界で10年以上の経験を持つ筆者。販売現場で培った経験をもとに、高級車・新型車を中心とした自動車情報を独自の視点で発信しています。

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