BMW新型M760 xDrive発表、570馬力のV8が復活。幻の「M7」に最も近い7シリーズが登場

BMWのフラッグシップセダン「7シリーズ」に、待望のV型8気筒エンジンを搭載した高性能モデル「M760 xDrive」が登場しました。

2027年モデルとして発表された新型M760 xDriveは、最高出力約570馬力を発揮する4.4リッターV8ツインターボエンジンを搭載し、従来の760i xDriveを上回るパフォーマンスを実現しています。

BMWはこれまで、5シリーズには本格的なMモデルであるM5を設定してきましたが、7シリーズには同様の位置付けとなる「M7」を設定していません。

今回登場したM760 xDriveは、そんな幻のM7に最も近い存在といえるモデルです。

目次

570馬力のV8ツインターボを搭載。従来の760iを上回る性能

新型M760 xDriveの最大の特徴は、改良された4.4リッターV型8気筒ツインターボエンジンです。

最高出力は約570馬力と発表されており、従来の760i xDriveが発揮していた536hp(約543PS)を上回るパフォーマンスを獲得しました。

駆動方式にはBMWのインテリジェント4輪駆動システム「xDrive」を採用し、大排気量エンジンが生み出す強大なパワーを路面へ効率的に伝達します。

さらに、通常の7シリーズよりもスポーティな走行特性を実現するため、シャシーにも専用の改良が加えられています。

新型M760 xDriveの主なスペックは以下のとおりです。

項目スペック
車名BMW M760 xDrive
モデルイヤー2027年
エンジン4.4L V型8気筒ツインターボ
最高出力約578PS(570hp換算)
駆動方式xDrive(4WD)
0-60mph加速約3.5秒
最高速度詳細未公表
米国発売2027年上半期予定
日本発売未発表

約5mを超える大型ラグジュアリーセダンでありながら、0-60mph(約96.6km/h)加速は約3.5秒とされており、その加速性能は高性能スポーツカーに匹敵します。

一方で、7シリーズならではの快適性や静粛性も重視されているため、単純に速さを追求するのではなく、長距離移動を余裕を持って楽しめるグランドツアラーとしての性格も備えています。

外観にもM専用装備。22インチホイールとスポーティなリアデザイン

新型M760 xDriveは、通常の7シリーズをベースとしながらも、M Performanceモデルにふさわしい専用装備が与えられています。

フロントにはM Sport Proをベースとしたデザインを採用し、足元には存在感のある22インチホイールを装着。さらに、Mカラーのアクセントを備えた専用ドアミラーやM760のエンブレムによって、通常モデルとの差別化が図られています。

リアにはスポーティなディフューザーが採用され、排気管を視覚的に強調するデザインも特徴です。

近年のBMWではエキゾーストエンドをバンパー内部に隠すモデルも増えていますが、新型M760 xDriveではV8エンジンを搭載する高性能モデルであることを、外観からも感じさせる仕上がりとなっています。

インテリアにもM専用ステアリングやライティング演出、BMWの最新インフォテインメントシステムに組み込まれたM専用表示などが用意され、フラッグシップセダンの豪華さとスポーティな雰囲気を両立しています。

かつてのM760LiはV12エンジンを搭載。新型はV8へ

M760という名称に懐かしさを感じるBMWファンも少なくないでしょう。

先代G11/G12型7シリーズには、6.6リッターV型12気筒ツインターボエンジンを搭載する「M760Li xDrive」が存在していました。

その最高出力は仕様によって異なりますが、最大610PSを発揮するモデルも設定され、BMWブランドを代表する高性能ラグジュアリーセダンとして知られていました。

今回の新型M760 xDriveでは、かつてのV12からV8へとエンジン構成が変更されています。

項目先代M760Li新型M760 xDrive
エンジン6.6L V12ツインターボ4.4L V8ツインターボ
最高出力最大610PS約578PS
駆動方式4WD4WD
車両の性格V12搭載の超高級セダンM Performance高性能セダン

V12エンジン特有の滑らかな回転フィールや圧倒的な存在感は失われたものの、新型ではエンジンの小型化と最新のシャシー制御技術によって、より現代的な高性能ラグジュアリーセダンへと進化したと考えられます。

また、BMWブランドではV12エンジンの搭載が終了しており、現在その伝統を引き継いでいるのは、同じBMWグループに属するロールス・ロイスです。

なぜBMWは「M7」を作らないのか

BMWにはM3、M4、M5といった本格的な高性能モデルが存在しますが、7シリーズをベースとしたM7は現在まで市販されていません。

その背景には、7シリーズが担う役割が関係していると考えられます。

M5がサーキット走行も視野に入れた高性能スポーツセダンであるのに対し、7シリーズは後席の快適性や静粛性、上質な乗り心地を最優先するフラッグシップモデルです。

仮にM7を開発する場合、より硬いサスペンションやスポーツ走行に特化したシャシー設定が求められますが、それらは7シリーズ本来の魅力と相反する可能性があります。

そこでBMWが選択したのが、M Performanceという位置付けです。

M760 xDriveは、本格的なMモデルほど過激な走行性能を追求するのではなく、ラグジュアリーセダンとしての快適性を維持しながら、V8エンジンによる圧倒的な余裕と高い動力性能を提供します。

つまり、M7という名称こそ与えられていないものの、7シリーズの性格を考えれば、M760 xDriveこそが最も理にかなった高性能モデルといえるでしょう。

電動化時代にV8を復活させたBMWの狙い

近年、自動車メーカー各社は電動化を推進しており、大排気量エンジンの存続は難しくなりつつあります。

BMW自身も電気自動車のi7やプラグインハイブリッドモデルを展開するなど、7シリーズの電動化を積極的に進めています。

しかし、その一方でV8エンジンを求める顧客が依然として存在することも事実です。

特に北米市場では、大排気量エンジンの力強い加速や独特のエンジンサウンドを重視するユーザーが多く、BMWは今後もV8エンジンを搭載したM Performanceモデルを展開する方針を示しています。

新型M760 xDriveは、その戦略を象徴する存在といえるでしょう。

電気自動車が静粛性と瞬間的な加速性能を追求する一方、V8エンジンには回転数の上昇に伴う音や振動、アクセル操作に対する独特の応答といった魅力があります。

BMWがあえてV8エンジンを残したことは、単なる性能競争だけでなく、エンジン車ならではの運転体験を重視する姿勢の表れとも受け取れます。

日本発売の可能性は? 2027年以降の導入に期待

新型BMW M760 xDriveは、2027年上半期に米国市場へ投入される予定です。

欧州市場への導入も報じられていますが、日本での発売時期や価格については、現時点で正式な発表はありません。

日本では従来の7シリーズにおいても、直列6気筒エンジンを搭載したモデルやプラグインハイブリッド、電気自動車のi7などが中心となっており、V8搭載モデルの導入は市場戦略に左右される可能性があります。

ただし、メルセデス・ベンツ SクラスやAMGモデルをはじめ、日本の高級セダン市場にも高性能エンジンを求める顧客は一定数存在しています。

そのため、新型M760 xDriveが日本へ導入される可能性も否定できませんが、現段階では2027年以降の展開を見守る必要があります。

まとめ:M7がなくても、BMWにはM760 xDriveがある

新型BMW M760 xDriveは、570馬力級のV8ツインターボエンジンと専用シャシーを組み合わせた、7シリーズの新たな高性能モデルです。

かつてのV12搭載M760Liとは異なる方向へ進化したものの、フラッグシップセダンとしての快適性とスポーツカーに匹敵する加速性能を両立するという点では、BMWらしい独自の価値を備えています。

特に注目したいのは、電動化が進む2026年においても、BMWがV8エンジンの開発と継続を選択したことです。

今後、BMWの高性能モデルがどのように電動化と内燃機関を使い分けていくのか。その方向性を考えるうえでも、新型M760 xDriveは重要な1台となりそうです。

参考・出典:Autoblog / BMWBLOG / Car and Driver

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この記事を書いた人

メルセデス・ベンツ正規ディーラーを中心に、自動車業界で10年以上の経験を持つ筆者。販売現場で培った経験をもとに、高級車・新型車を中心とした自動車情報を独自の視点で発信しています。

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