約60年の時を経て復活した「Jensen Interceptor(ジェンセン・インターセプター)」が、いよいよその本領を見せ始めました。
Jensen International Automotiveが開発を進める「Interceptor GTX」の最新テスト映像が公開され、6.8L V8スーパーチャージドエンジンが実際に走行する姿と、その強烈なエンジンサウンドを確認できるようになったのです。
MOTION & TIMEでは以前、Interceptor GTXの発表時に、その成り立ちや960PS級のV8エンジン、そして今後計画されている公道仕様について詳しく紹介しました。

今回はスペックを改めて紹介するというより、ついに聞くことができた「音」に注目してみたいと思います。
ついに解き放たれた6.8LスーパーチャージドV8
Interceptor GTXに搭載されるのは、LME(Late Model Engines)が手掛けた6.8L V8スーパーチャージドエンジンです。
最高出力は約960PS級に達し、最大トルクも1,000lb-ft(約1,356Nm)という強烈なものですが、数字だけを見ている段階では、このクルマがどのような存在になるのか完全には伝わってきませんでした。
しかし今回公開された走行映像を見ると、その印象は大きく変わります。
エンジンに火が入り、アクセルが踏み込まれると響き渡るのは、現代の高性能車では珍しくなりつつある大排気量V8らしい、低く太い排気音です。
さらに回転数が上昇すると、そこへスーパーチャージャーの機械的なサウンドが重なり、単純に「音量が大きい」というだけではない、非常に荒々しいキャラクターを感じさせます。
960馬力という数字より「音」の方がGTXを物語っている
Interceptor GTXが発表された際、どうしても目を引いたのは「約960PS」という最高出力でした。
ただ、今回実際の走行音が公開されたことで、このクルマの魅力は数字だけではないことが、より分かりやすくなったように感じます。
近年の高性能車は電動化が進み、純粋なEVだけでなく、エンジンを搭載するモデルでもハイブリッドシステムによって性能を引き上げるケースが増えています。
一方のInterceptor GTXは、大排気量V8にスーパーチャージャーを組み合わせ、そのパワーを後輪へ送り込むという極めて伝統的な構成です。
しかもGTXには6速シーケンシャルトランスミッションが組み合わされており、エンジンの回転上昇とシフトチェンジが生み出す一連のサウンドには、電動化された高性能車とはまったく異なる魅力があります。
なぜこの音にこれほど惹かれるのか
興味深いのは、Interceptor GTXが最新のクルマでありながら、その魅力の中心にあるものが極めてアナログであることです。
速さだけを追求するのであれば、モーターによる瞬間的なトルクや四輪駆動を組み合わせる方法もあります。
それでもJensenが選んだのは、大排気量V8、スーパーチャージャー、後輪駆動という構成でした。
アクセルを踏み込めばエンジンの回転数が上昇し、それに合わせて音が変化する。さらにスーパーチャージャーの機械音やシフトチェンジの衝撃まで加わり、ドライバーはクルマが発生させている力を耳や身体から感じることができます。
今回公開された映像は、Jensenが目指している「アナログなドライビング体験」がどのようなものなのかを、スペック表以上に雄弁に伝えているのかもしれません。
GTXの音は、これから登場するInterceptorへの予告編
そして、このエンジンサウンドが重要なのにはもうひとつ理由があります。
Interceptor GTXはJensen復活計画の最終形ではなく、新しいInterceptorシリーズを開発するための技術実証的なモデルだからです。
現在の計画ではGTXで得られたノウハウをもとに、公道走行可能な高性能モデル「Interceptor GTR」、さらに4人乗りのラグジュアリーGT「Interceptor GT」へ発展していく構想が示されています。
つまり今回耳にしたV8の咆哮は、サーキット専用GTXだけのものではなく、これから誕生する新世代Interceptorがどのようなクルマになるのかを想像させる「予告編」とも言えるでしょう。
もし公道仕様でも、この大排気量スーパーチャージドV8が持つキャラクターが色濃く残されるのであれば、それだけでも現代では非常に希少な存在になります。
電動化時代だからこそ、このV8サウンドが際立つ
1966年に誕生したオリジナルのInterceptorは、英国車でありながら大排気量のアメリカンV8を搭載するという独特なグランドツアラーでした。
約60年後に復活した新型もまた、英国的なスタイリングと強烈なV8という組み合わせを受け継いでいます。
ただし、その意味は60年前とは少し違います。
電動化やダウンサイジングが進んだ2026年に、6.8LものV8エンジンをスーパーチャージャーで過給し、約960PS級のパワーを後輪へ送り込む。
効率を最優先した選択とは言いにくいものの、だからこそInterceptor GTXには、ほかの高性能車では味わいにくくなった強烈な個性があります。
そして今回、そこへ「音」という新たな魅力が加わりました。
写真で見て、スペックを読んで想像していたInterceptor GTXが、ようやく生きたクルマとして動き始めたようにも感じられます。
約960PSという数字だけでも十分に刺激的ですが、このクルマに関してはぜひエンジンサウンドまで含めて注目してほしいところです。
新生Jensenが目指しているのは、単に速いクルマではなく、エンジンを始動した瞬間からドライバーの感覚を刺激するクルマなのかもしれません。
参考・出典:Jensen

